表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カフェ・ギムナジウム  作者: 風水ほのお
ビクトリアンの楽園
10/22

ビクトリアンの楽園 2

先ほどから流れている天羽鷹二のヴァイオリンは、パッヘルベルの「カノン」です。


曲が終わりましたね。ソファーでお待ちのお客様も拍手喝采です。


「どうだった? 兄さん」


レジにいる兄の天羽鷲一に感想を聞く鷹二。


「音の伸びが軽やかだったな。気持ちに余裕が出たみたいだ」


そう言って優しく目を細め、弟の頭を撫でる兄。

鷹二も嬉しそうですね。

お客様に聴かせるためのヴァイオリンですが、本当にいちばん聴いてほしい相手は、鷲一なのでしょう。


さて、夢のような甘い果実の楽園も、そろそろ去る時が来ましたね。

ええ、後ろ髪を引かれる思いは、わたくしでも充分お察しします。

今宵は彼らの夢をご覧いただけるといいですね。


――――――――


中庭の東屋で月夜の逢い引き。

談話室では尽きることのない、シェークスピアへの賛辞。

図書室でゲーテを読み耽る先輩を、書架の陰からのぞき見るあどけない後輩。


若気の至り、若さゆえの過ち、世の中なんてなるようになるさ、どうせ彼らはケ・セラ・セラ、などと侮るなかれ。

一生涯かけて誓った熱い想いを、一篇の詩にこめ君に捧げる。


乙女たちは一生涯かけて熱い想いを、妄想に妄想をこめ己の道に捧げる。

そしてこの世はケ・セラ・セラ。

財布の中身もケ・セラ・セラ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ