第5夜
あの後、父さんに怒られた。そしてまた、祖父の部屋を片付け始めたら
「なぁ」
「何?」
「お前のじーさん、何処行ったんだ?」
「………」
子供じゃなかった、妖怪は祖父の事を知っているようだ
なんて言えば良いのだろう?まさか、紛いなりにも子供(でも妖怪)相手に祖父はもう亡くなったとハッキリ言えば良いのか?と考えていると、この子から戦慄の走るような言葉を聞いた
「まぁ、アイツの事だ。妖怪を見にあっちへふらふら、こっちへふらふらなんざ良くあることだし、それで呪詛かけられたって笑って自慢気にする馬鹿だから大丈夫だろ」
「(何が大丈夫なんですかぁぁぁぁぁッ!?)」
心の中で盛大にツッコミをいれた
祖父の知られざる所を知ってしまった感が半端ない……
「何を項垂れている陽炎」
「父さん……」
いつの間にか父さんが戸を開けて此方を見ていた
「うっわぁ~相変わらずの無愛想な奴だな」
妖怪が物凄いことを言ったが、父には聞こえていないようだ。
「早くこの部屋を片付けろ」
「……はい」
父さんはやはり僕を見ない
何故なら父さんや母さんから見て僕は欠陥品だから……
小さい頃、祖父に預けられた半年間。あの時だけは祖父に預けるのを両親は反対した。でも、後でわかった反対した理由は単純な理由だった。
祖父がイカれていると近所では有名だったから。そんな人の元に我が子を置けば、自分達もイカれた人に見られるから……
ただそれだけだった……