第32夜
「さて、私の話は終わった。次はお前だ」
「僕は……」
語っても大丈夫なのか
震える身体を抱えながら声をだそうとするが、声がでない……
「………く……は……」
「とっとと話せ!バカ者が!!」
「グハッ!」
阿比王が右側から飛び蹴りをくり出した
「阿比王…」
「どうせ下らんことだ。過去は過去、起きてしまったことは変えられないだろうが、だからとっとと言え!」
再度僕を蹴りながら言う阿比王。
そんな阿比王のおかげ(と言っていいのか?)で緊張が解けたのか、話すのに苦痛も何もなく語れた。
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僕には二人の兄がいる。兄さん達は頭がよく、僕は小さい頃からよく比較されていた。
頭のいい二人に比べ、僕は両親の期待に応えられなかった
母さんと父さんはそんな僕を捨てた。嫌、正確に言うなら僕に期待することを止めたと言った方が正しいのかもしれない。
何も期待せず、ただ冷ややかな目でずっと僕を見ている。兄さん達だけが愛され、僕は忌々しい存在と言わんばかりにさげずんだ目で見ていた。
苦しかった、辛かった、切なかった。ただ僕は愛されたかったダケなのに……
そして聞いてしまった。両親が『陽炎は失敗作だな』と話しているのを…
それを聞いて僕は壊れた。辛すぎて僕は絶望よりも、孤独よりも、深い深い闇に囚われた。
ソコからの記憶は何もない。ただ祖父から聞いた話によると、僕は食べ物も食べず、暴力を振られても泣きもわめき声すらあげぬ、ただの人形になってしまっていたんだそうだ。
そして、偶々偶然、暇だったからと言う理由でいきなり僕たちの家に来た祖父は僕を見つけてくれた。




