#6 俺の部活の部員は真面目じゃないっ!
「ちーっす、って誰もいないのか」
俺は周りを見回して部室に自分以外の人間がいないことを確認すると俺は椅子に腰を下ろした
いやー、誰もいない部室は静かでいいなー
ん?待てよ...俺の椅子の下の方から、いや俺の股付近から何やらジュルジュルと吸う音が...
俺は恐る恐る下を見てみた
「綾さん、なにやってんすか?」
「なにって、私はただ机の下、いや正確にはあなたの股付近でチョコバナナを吸っているだけですけど何か?」
「なんでそんなことやってるんですか!」
「なんでって、なんかこうするとエロくない?」
「確かに少しエロいかもしれませんがだからどうしたんです!」
「私はただ公くんに女性の魅力に気づいてもらい肉食に目覚め女性への免疫を付けてもらおうと思っただけなのに...」
「あ、綾さん...そんなこと考えてくれてたんですか。なんか俺泣きそうです。綾さんの変態ってキャラだったんですねぇ」
「いや、素だよ」
「あれ?素なんですか?」
「うん」
「じゃあ、さっきの話は?」
「とっさに思いついた嘘だ」
「嘘なんですか!俺の涙返してください!」
「いや、公くん泣いてないし」
「たしかに泣きそうになっただけですけど...ってそんなことより!」
「へぇー、そうやって自分の失言をごまかすんだねー」
「いえ、ごまかしたつもりはありませんよ!それより、よくもあんな嘘をとっさに憑けますね!」
「嘘は私の十八番だからねー」
「そうだったんですか!」
「これも嘘」
「どんだけ嘘憑いてんすか!」
「うーん、人生の9割くらいかな?」
「そんなに?!」
「いや、嘘」
「また嘘ですか!」
「うん」
「うんって...全くあなたって人は...」
「あなたって人は...エロくて可愛くて最高、とか?」
「全然っ違います!全くなんなんですか!」
「なにって私はただのJKよ?」
「それくらい知ってますよ!」
「あら、私はてっきり公くんは私にはとある果実を食べて特殊な能力があると信じていると思っていたのだけど、違ったの?」
「別に思っていませんよ!そんな、どこかの少年漫画に出てきそうな設定」
「あら?公くんは少年漫画読んでないの?実際にあるのよ、そんな漫画。たしかワンピ」
「ストーーーーップ!それ以上は危ないです!」
「あら、そうなの?」
「そうです!」
「じゃあ、私にはとある宇宙人の血が流れていて親友のクソソンが殺されてスーパーサイ」
「やめてーーーー!あなたはこの物語を消滅させる気ですか!」
「その気かもねぇー」
「マジっすか!」
「いいえ、嘘」
「また嘘ですか...」
「はい、嘘です」
「はぁー、なんか疲れましたよ...」
「疲れるのはまだ早いわよ!夜は長いのだから!」
「まだ夜にすらなってませんよ!てか、なにする気ですか!」
「なにって、もちろんセック」
「ほんとやめて!あなたのキャラがどんどん壊れてますよ!」
「あら、私はキャラなんてどうでもいいわ。だってこれが私だもの。私は私を誇りに思っているわ!」
「あの、そのセリフだけ抜粋したらものすごくカッコイイんですけど、意味を考えると滅茶苦茶ですよ!」
「ええ、そうね。だから意味なんて考えたくもないわ」
「自分でも考えたくないんですね...まぁ、いいでしょう」
全く綾さんと絡むのはほんと疲れる
正直、女性への免疫がないから話しているだけで気絶しそうだし...
「ハロー!おっ、みんな集まってるねー」
救世主きたー!
これで助かる!
「ええ、ところで空ちゃん遅かったわね」
「まぁ、少し事情がありましてね」
「まぁ、そんなことはどうでもいいわ。ところで私は公くんに免疫を付ける方法考えてきたの?」
「はい、私は考えた結果、ここで駄弁るという結論にたどり着いたの!」
「なるほどそれは迷案ね!...あっ、名案ね!」
「ありがとうございます!」
なぜ空は気づかない!どんだけ天然なんだよ!
「ところで綾先輩は何か考えてきたんですか?」
「ええ、でもそれはもう失敗してしまったわ」
「どんなことしたんですか?」
「えっとね、それはまずチョコバナナを」
「ストーップ!」
「なんで止めるの?公平」
「まぁ、いいじゃん失敗した作戦なんて、それより早く空の案を試してみよう!」
「それよりも私のチョコバナナの続きを」
「チョコバナナより空の案です!」
「へぇー、公平は私の案を優先してくれるんだー」
「どうかしたか?」
「べ、別に!じゃあ、早く始めましょ!」
ふぅー、なんとかチョコバナナから切り離したぞ
「私の話より空ちゃんの案優先なのね...」
「ん?綾さん、なにか言いました?」
「いや、なんでもないわ。さあ、始めましょ」
こうして俺たちは今日も一緒に話し、一緒に下校したのであった
全く、この二人は俺に免疫を付ける気はあるのだろうか...