未来へのエピローグ
「おめでとう、六月」
「さんきゅ、夕歌」
この日俺は、高校を卒業した。振り返ってみると早かった三年間、思い出は多い。
「ま、早速だけど……行くか」
「うん」
融解犯――ウラが消えてから一年。
ウラは持っていた記憶の全てを夕歌へ残した。徐々に思い出していく中で夕歌は酷く混乱していたけど、その度俺が支えてきた。ウラの言った通りに夕歌は芯の強い奴で、すぐにそれを受け入れたのを覚えている。
ウラの思いも、自身の過ちも、全て。
「お別れは済んだの?」
「いいよそんなの。湿っぽいのは嫌だし」
これから俺たちが行くのは、途方のない旅路。
幸せを創る旅。不幸を溶かす旅。
「縁があれば、また会えるさ」
「……そうだね」
俺たちが創った不幸を清算する……創りかえるために。敢然と。
いつか世界が幸せになれたなら。
その時は俺達も幸せで。
そしたらウラにも、胸張って謝る事だって出来るから――。
この話は友人と、書きながら話を考えて三日後に完成させるというゲームをした時に作りました。
かなり楽しく書けたので気に入ってます。
自分以外の一人でも楽しんでいただけたら嬉しいです。




