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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

先輩、俺のものになってください

作者: 柊 達樹
掲載日:2026/03/12


「先輩、俺のものになりませんか?」


甘く囁くといつも呆れた顔で溜息を吐くのは見慣れた光景で今の告白で多分100を超えただろうけれど先輩の心は動かないのかいつも決まって言った


「嫌だね。」


冷たい視線が向けられて心臓が握り潰されそうなぐらいに掴まれている気がする


先輩が睨んでも可愛いだけでむしろ逆効果なのに。

俺はずっと先輩に心を掴まれている


「えぇ〜?俺、ちゃんと一生賭けて先輩の事愛しますよ?それなりに顔もいいし優良物件だと思うんですけど」


「オレはお前のそういう所が嫌い。」


軽蔑の眼差しに少しだけ躊躇ったけれど俺はそんな事でへこたれる訳もなく来週もまた告白しに行こうと考えていたけど先輩はそんな俺を見て溜息を吐いていた


翌日、幼馴染宅で振られた腹いせにゴロゴロとしていると鬱陶しいと言われてしまい静かに起き上がって聞いた


「なぁ、俺ってそんなに魅力無い?」


「何急に。自慢?この前のバレンタインで酷いことになったの覚えてねぇの?羨ましすぎる。いっぺん死ね。ゴミカスヤリチン野郎。」


「なんで!?いやいや、俺まだ誰ともした事ないからね。好きな人以外とやりたくないよ?」


「お前、変な所乙女だよな。普通にキメェわ。」


「一途って言うんですー。」


呆れた顔で溜息を吐く幼馴染が先輩の反応と被ってしまい考えてもよく分からなくて幼馴染に聞いてみると再度呆れた顔で溜息を吐かれた


「本当に分からねぇの?」


「うん。だって俺イケメンだろ?性格も良いしちんこだって七瀬よりデカいよ。悪いとこ無くない?……先輩がB専なら、打つ手ないんだけどさ。」


実際、俺への評価は皆が皆揃ってそういうし呆れた顔で辛辣な幼馴染でさえもそれ自体は殆ど否定しない

だからこそその自覚もあるし不思議でならない


「ナルシストが。」


「事実を否定しても意味無くない?七瀬って捻くれてるよね。そういうのモテないよ?」


「うっせ、死ね。カス。生まれ変わって溝鼠からやり直せ。」


「こんなイケメンな溝鼠いたら先輩飼ってくれるかな」


「鼠にイケメンとか無いだろ」


幼馴染の七瀬は言葉に衣を着せないし異常にもてはやしたりしてこないから少し楽。こんなことを言っては居るが幼稚園からの付き合いでお互いの事も理解しているけど先輩の気持ちはあまりよく分からない


「そもそも、お前が隣にいてモテるのが羨ましいと思う訳ないだろ。ストーカー、痴漢、去年に至っては殺されかけてんだ。もう少し自重しろよ、ゴミカス。」


「いやぁ、その説は大変お世話になりましたね。俺ももうびっくりよ?」


何度も何度もそういう目にあったからかいつしか他人に興味を持てなくなったのに気が付いたのは中学に上がる頃だった

女の子と2人になるだけで相手の子が虐められたり、嫉妬した子が詰め寄ってきたり、知らない子が朝家まで迎えに来たり…


幼馴染の七瀬は喧嘩っ早く目付きの悪いお陰で手を出そうと思う人間は少ないがそれでも何度も巻き込まれてそれら全てを返り討ちにしている程だ


「お前、なんでその先輩好きなん?他人に興味無いだろ。」


「まず俺に冷たいところ」


「ツッコまねぇよ?」


先輩と出会ったのは屋上で寝不足だった俺は暖かくなってきた春の陽気に包まれて寝ていた時初めて出会った


目が覚めて、身体になにかかけられていてそれが誰かの制服だと気がつい手辺りを見回すと先輩が居た


あんまり目立たなくて小さい先輩と初めてあったけれど目が合った時冷たい口調で「目覚めたなら早く返して。」と言い放った


「ご、ごめん。どうぞ。」


すぐに返すとカバンの中から消臭剤を振りかけていてそんなに匂うかな?と思ったけれど思春期真っ盛りで気を付けない訳もなくそんなわけが無いと思ったけれど初めての感覚に心臓が高鳴った


わざわざ制服を掛けてくれるということは少し気があるのだろうか?それなら少し嬉しいかも。そう思った俺は声を掛けていた


「君、一年生?ありがとうね、俺いつの間にか寝ちゃってて。」


「お前、2年?今後もそのツラで居たかったら二度とその間違いはするなよ。オレの方が先輩だから。」


「…ごめん。可愛いから後輩かと思ってた。先輩、ありがとうございました。」

「本読んでるから、話し掛けないで。」


そんな風に扱われるのは七瀬以外では初めてのことで両親だって俺の事を適当に扱う事は無い

だから先輩が読み終わるまで待つ事にした俺は邪魔しないように静かに待っていると本を閉じる音と共に先輩と呼ぶと目が合った


琥珀の様に綺麗な瞳と目が合って俺はこの気持ちを確信した


「先輩、俺のものになってくれませんか!?」


「馬鹿にしてる?」


そう言われて、性急過ぎたと自覚した俺は週に数回屋上に来る先輩に半年以上告白し続けて100回目、終いには嫌いとまで言わせてしまったのは理由が分からないのは俺がまともに恋愛した事がないからだろうか?


「ねぇ、七瀬なんで笑うの」


「くく……いや、うん。お前流石に無いわ。キモ過ぎて笑った。腹痛てぇ、ドM過ぎる」


「俺、痛いのは嫌いだよ?」


「メンタル的な話な。て言うか普通に脈無いんじゃね。別のやつにしたら?」


「無理。」


そう言われて少し考えたけれどほとんど即答した

先輩以外と付き合うという想定がそもそもない俺にその考えが無くてだからこそどうやって落とそうか考えている


「そうかよ。本当に好きなんだな。」


「うん。超好き。他人に可愛いって思ったの初めて。顔見ると心臓がぎゅんって握り潰されそうで気持ちいい」


「マジでキメぇ発言どうも。……でも、あんまり迫っても可哀想だろ。先輩、そろそろ卒業だろ。連絡先も家も知らねぇんだろ?」


「……そうなんだよな〜だから焦ってる。七瀬、俺どうすればいい?どうすれば先輩と付き合える?」


悩み事相談すると七瀬はいつも文句を言いながら答えてくれる。それが間違っていたことはないし間違っていたとしても俺は七瀬のことを信頼してるからこそ七瀬の意見も聞きたい


「……お前、本当にキモいな。……良いよ、じゃあ……」


それから1ヶ月、屋上に向かわず3月の卒業式の日屋上に居ると扉の開く音がして振り返った

もう寒いはずなのに、何故か屋上にやってくるのは高いところが好きなのだろうか


そんな先輩に声を掛けると目が合った


やっぱりすごく可愛くて不思議そうにこちらを見る目と見つめ合うと心臓が握り潰されそうなくらいに苦しくなる


「先輩、卒業だしこれで最後にする。」


心臓が苦しい


七瀬が言ったのは次告白するのは卒業式にしろ。というものでそこに全部を注げと言われた

会わなかったのは俺が我慢出来そうにないからで先輩を見るとどうしても好きだと言いたくなる


だから1ヶ月会わなかったけれど、会わないせいで先輩に会いたくて眠れなくなるし、寂しい、ずっと何かが足りない気がして皆はこれに耐えてるんだと思うと凄いと思った


これで会えなくなるかもしれないと思った時、後悔した

1ヶ月会っておけば良かった、先輩に嫌がられていたとしても失った時間は取り戻せなくて、自分の判断に後悔した


「泣くなよ。男前が台無しだぞ。」


その時、初めて笑った顔を見た気がしていつの間にか涙がボロボロと止まらなくなっていた


好き過ぎて全身が熱い

もっと会いたい

もっと喋りたい

なんで同じ歳じゃないんだろう

なんでもっと早く出逢わなかったんだろう


沢山の人に好かれるより、先輩だけに好かれたいのに、なんで先輩は俺を好きになってくれないんだろう


ここで終わりにしたくない。そう思いながらゆっくり言葉を吐き出した


「先輩、俺やっぱり先輩が好きです。先輩は俺の事嫌いなのは分かってます。それでも好きです。俺の物になって欲しい。俺は……「待て待て待て」


今日で最後なんだから最後まで言わせて欲しい、そう思ったけれど先輩はどこか居心地の悪そうな顔をしていた


「なんでオレがお前を嫌いになるんだよ?」


「……この前、嫌いって言われました。それに告白しても何度も何度も断わられるし。どうせ振るんですから、最後まで聞いてくださいよ。」


「嫌だね。俺はお前のそういう所が嫌い。」


「な……んで、そんな意地悪言うんですか。俺、先輩と会えなかった時、死ぬほど寂しかったのに。」


告白してきた女の子たちはこんな気持ちだったんだろうか。俺、今までどんなふうに断ってたっけ。


そんな事を考えてしまいそうになったけれど先輩の事を思い出して目を向けると先輩はバツが悪そうに首に手を当てていた


「お前、告白する時いつもそうなの?」


「……全然……。告白された事しかないし。」


「そう」


何でだろう、先輩はいつも可愛いけど今日はさらに可愛く見える。顔と耳が真っ赤に見える夕焼けのせいだろうか?

つい、好意的に解釈してしまいそうになる


「先輩は俺の事が嫌いですよね。嫌いなら、はっきり断ってください。俺、振られに来たんですよ!」


「は?何でだ?違ぇよ。勝手に決めんな。」


呆れた顔でなにかに怒っている先輩のことが分からなくて疑問に思っていると何かを理解したようでこめかみを押さえていた


「…むしろオレはお前に逢いに来たというか…じゃなかったらわざわざ屋上まで来ねぇよ……」


先輩が照れくさそうに見えるのは幻覚だろうか?

頬を抓って見たけれど痛みだけで夢じゃない事はわかる

でも、先輩は俺のことが嫌いだと言っていたから勘違いしては行けないと思って聞いた


「振りに来たんですか?」


「ぶっ飛ばすぞ。……告白、しに来たんだよ。」


そう言って渡されたのは制服の第二ボタンで欲しいとは思っていたけれど本人から渡されるなんて思ってもみなくて目が点になっていた


状況が理解出来ないでいると先輩は何故か手招きをして胸元を引き寄せられて柔らかい何かが当たり顔が近くなっていた

状況を理解して、思わず先輩を引き離すと顔を真っ赤にして逸らされていた


「ごめんな、素直に信じられなくて。今日、ここに居たらちゃんと伝えようと思ってた。オレも好きだよ。」


「は?え、どういう……先輩、脅されてたり?」


「普通にお前が好きなんだけど。…冗談だったのか?」


先輩の顔がだんだん暗くなっていくのがわかってそれを否定して抱き締めた俺は何故今になって好きと言ったのか聞いた


「……そりゃ、学校1の人気者が男に告白してたら警戒するだろ。……それにオレはお前みたいに格好良い訳でも可愛くもない金持ちでもないただの平凡。」


「先輩は世界一可愛いですよ。平凡の意味知ってます?何言ってんですか?」


そう言うと呆れた顔で溜息を吐くのはいつもの事で

「そんなん言うのお前だけだろ。変な奴」

と笑っていたが冗談でもなんでもなくそう思っている


「世間的に身長の低くて口の悪い平凡顔の男なんて褒められる要素がひとつも無いんだよ。」


「それ、先輩の可愛い所しか言ってませんけど。」


「そうかよ。…割と初めの頃から好感は合った。だから、今日告白しにきた。もう呆れられたと思ったから居ないと思ってたけど……なんで来なかったんだよ。」


正直な話をすると七瀬の言ったことで合わない選択をしたというのはただの誤魔化しで俺は先輩に嫌いと言われたくなかった

七瀬の言ったものは俺にとって都合が良かった

何度も何度も告白して負担を掛けてる自覚もあったけど抑えられない自分もいるから我慢する事にした


だから卒業式で最後にする事にした


「……オレが言ったのはお前、告白する時毎回俺の物になれって言うだろ」

「…勿論、俺も先輩の物になりたいですよ?」

「そういう事じゃねぇよ」


否定したあと先輩は俺が「俺の物になってください」と言うのが気に入らなかっただけだと言われて少し納得した


何となく思いを口にしただけだったけど細かい所まで気が回らなかった俺の発言が嫌いなだけであって俺自身の事ではないと呆れたように言われ少し納得した俺は先輩を呼んだ


「何?」


心臓が酷く鳴っていて、抱き合っているからそれは多分先輩にも伝わっているんだろう

先輩の鼓動も同じくらい大きくて同じかもしれないと思うと嬉しくなる


「俺の恋人になってくれませんか。一生大事にします。一緒に居たい。隣で生きて欲しい。」


「ふはっ…気が早くねぇ?あんまりそういう事言うと後で後悔するぞ?」


笑ってる。可愛い。身体が止まらなくて唇を合わせると握った小さな手がゆっくりと握られて先輩から握られた圧力さえも心地いい


ちょっと震えてるのが可愛くてずっとそうしていたい

抱き締め直すと互いの心臓が酷くどっちの音かも分からないくらいに心音が混ざりあっていた


「別れる事考えて告白する人なんていませんよ。」


「そりゃそうだ。これからは恋人としてよろしくな。」


改めてそう言われると嬉し過ぎてつい抱きしめる力を込めそうになって自重することにした







創作合間の単話です。良ければ評価、感想待ってます。

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