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最終章 悪役令嬢のハッピーエンド
数十年後。
私は年老いたが、まだ魔導の研究を続けていた。
私の著書『魔力と文明の未来』は、世界中の学校で教えられている。
ある日、孫娘が尋ねてきた。
「ねぇ、おばあちゃん。おばあちゃんは本当に悪役令嬢だったの?」
「ええ、そうよ」
「でも、みんなは救世主って呼んでるよ?」
「フフ……」
私は孫の頭を撫でる。
「悪役でも救世主でもないわ。おばあちゃんは、ただのカルメンよ」
世界を敵に回しても笑って生きる──それこそが私のハッピーエンド。
窓の外では空は晴れ渡り、新しい時代の風が吹いていた。
かつて私は悪役令嬢だった。
他者をいじめ、嫌われ、運命に翻弄された。
でも──私はその運命を壊した。
世界を敵に回しても、誰も信じなくても、自分の信じる道を進んだ。
だから、私は笑える。
だから、私は幸せ。
THE END