7/9
第七章 塔の完成と世界の奇跡
数年後、魔力制御塔はついに完成した。
高さ百メートル。
古代の技術と私の魔導が融合した、世界初の魔力制御システム。
反乱軍は鎮圧され、教会も一部が協力を表明。
ルーネゼとアルテミウスも私の行動を理解し始めた。
塔の起動日。
私は塔の最上部に立ち、スイッチを入れる。
「魔力制御塔、起動」
瞬間──空が光った。
魔力の流れが塔に吸い込まれ、制御されて安定する。
遠くで発生していた魔力の渦が、ゆっくりと消えていった。
「……成功した……?」
塔の下から降りて来た私を迎えたルーネゼは、口元を手で押さえながら涙を浮かべている。
「カルメン様が……世界を救った……」
いいえ。
救ったのは私じゃないわ。
未来を信じた人たちの力よ。
私もただの一人の、この世界の住人でしかない。