表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された雑魚剣士、実は最強ゲーム覇者でした。~記憶を取り戻した俺はチート知識で世界をぶっ壊す~  作者: 中瀬
第一章 ワールド覇者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/506

第96話 ユウキの師匠

――気づくと、ユウキは暖炉の前に立っていた。

 懐かしい香り。木造の小さな家。そこは、育ての親である老紳士シドと過ごした家だった。


 「……シド?」


 暖炉のそば、椅子に腰掛けたのは、長い髭を撫でながら本を読んでいる老人。

 ユウキのよく知る姿だった。


 「ユウキ……お前は、もう無理をする必要はない」

 「究極の魔法なんてものは存在しない。あれは夢物語だ」


 老紳士は静かに言う。


 「魔法を極めても意味はない。わしの体ももう限界だ。……お前も、このパーティの犠牲になる必要はないのだ」

 「戦いなど、諦めてしまえ」


 ユウキの胸が、ずきりと痛む。

 ――けれど。


 彼は強く首を振った。


 「そんなこと、シドが言うわけない!」


 「シドはいつだって夢を語ってた!」

 「希望を信じて、どんな時も探求心を忘れなかった!」


 脳裏に、シドと過ごした日々が鮮やかに蘇る。

 新しい魔法の理論を考えては目を輝かせる師。

 何度失敗しても笑って立ち上がる姿。


 ――その背中に憧れて、ユウキは魔法の道を歩んできた。


 「僕は、あの日のことを忘れてない……」


 声が震える。

 シドが亡くなった日のこと。


 悲しくて、苦しくて、最後まで見送ることすらできなかった。

 でも――誓ったのだ。


 『ユウキ。究極の魔法を、見つけるのだ』


 その声は、確かにユウキに託されていた。


 「だから僕は、諦めない!」

 「シドは僕に夢を託してくれたんだ! お前は……偽物だ!」


 ユウキが両手を掲げる。

 魔法陣が空間に浮かび、淡い光に包まれる。


 「――《トリックアウト・偽物霧散》!」


 光の奔流が偽りの姿を飲み込み、老人の姿は霧のように消えていった。


 残された静けさの中、ユウキはぎゅっと拳を握った。

 胸の奥が温かくなる。


 「……でも、たとえ偽物でも、シドの姿を見れてよかった」


 頬を伝う涙が、ぽたりと落ちる。

 それでも、その瞳は強く輝いていた。


 夢と希望、そして無限の探求心――。

 まるでかつての師そのもののように。


 ユウキは涙を拭い、真っすぐ前を見据えた。

 まだ12歳の小さな魔法使いの目は、誰よりも大きな未来を映していた。

いつも読んでくださり、ありがとうございます。

良ければブックマークと評価をお願いします。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ