表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された雑魚剣士、実は最強ゲーム覇者でした。~記憶を取り戻した俺はチート知識で世界をぶっ壊す~  作者: 中瀬
第一章 ワールド覇者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/517

第93話 ヒカルの試練

階段を下りたルミナスブレイブを包んだのは、静謐な光の結界だった。

 広大な空間に一歩踏み入れると、メンバーは一瞬にして離れ離れになる。


「ヒカル!? みんなっ!?」

声を上げても、仲間の姿はどこにもない。


『ここは第8階層──精神世界。勇者を名乗る資格があるか、一人ひとりに試練を与える』

荘厳な声が響いた。



――目を開けた瞬間、ヒカルは息をのんだ。

 そこは見覚えのある風景。巨大な魔法スクリーンが設置された広場、興奮と緊張でざわつく人々の声。


 「……ここは……?」


 脳裏に焼きついていた景色。

 ダンジョンキングオーダー ギルドパーティ編、開催当日。


 しかし、ヒカルを取り囲んでいたのは、ナオ、ユウキ、ミナ、レナ、ソウタではなく、

 昔の仲間だった。そう前世のゲーム時代のだ。


 ヒカルは前世で「黎明の翼」というギルドのギルドマスターだった。

 チート級の知識を駆使し、個人では圧倒的な強さを誇った覇者。

 しかし、それでもギルドパーティ戦で一度も一位を取れなかった。


 理由はわかっていた。

 ――仲間に、自分が活躍できるようなスキル構成を強要していたから。

 圧倒的な強さに裏打ちされた作戦だったが、求める要求は常に高すぎた。

 知らず知らずのうちに、仲間へ重いプレッシャーをかけていたのだ。


 そしてある日。

 ――「あいつの独りよがりには、もうついていけない」

 自分がいないところで交わされていた会話を、偶然耳にしてしまった。


 胸が締めつけられる。

 現実では人をまとめたこともなく、むしろゲームに逃げ込むように生きてきた自分。

 束ねる立場が本当に自分に合っていたのか――答えは出せないまま、仲間に惜しまれつつもギルドを解散した、苦い記憶。


 ヒカルは唇を噛む。



 次の瞬間、意識が切り替わった。どうやら今世の意識に戻ってきたようだ。

 そこは第8層の精神世界。ヒカルがいるべき場所だ。


 しかし、目の前に立つのは、自分と瓜二つの存在。

 影のヒカルだった。


 影は歪んだ笑みを浮かべ、剣を振り下ろしてきた。

 「どうせ仲間はお前を信じない。そんなやつらは必要ない」

 「一人でいた方が気楽だろ? わずらわしいよな、他人に囲まれるなんて」

 「お前は覇者なんだ。好き勝手にやってりゃいい」


 刃の衝撃が響き、ヒカルは防戦一方に追い込まれる。

 影の言葉が胸を刺し、過去の孤独が再び蘇りそうになる。


 ――だが、今は違う。


 ヒカルの脳裏に浮かぶのは、この世界で出会った仲間たちの笑顔。

 仲間の成長は仲間自身に任せ、必要なときに手を差し伸べてきた。

 ギルドマスターの座も、適任者であるソウタに譲り、自分は戦略に集中することでチームを導いてきた。


 昨日だって、皆で肩を並べ、語り合ったじゃないか。

 苦しみも、喜びも分かち合いながら、ここまで進んできた。


 ――そうだ。今は一人じゃない。


 ヒカルの瞳に、再び力強い光が宿った。


 「違うな、今の俺は!」


 影の剣を弾き返し、ヒカルは踏み込む。

 「仲間がいるから、俺は俺でいられる! それに気づいたんだ!」


 刹那、聖なる光がヒカルの剣を包み込む。

 ――《神裁》。


 振り下ろされた一撃が影のヒカルを貫いた。

 「馬鹿な……そんな仲間……信じて……」


 呻き声とともに、影は霧散していった。


 静まり返った精神世界に、ヒカルの荒い息だけが響く。

 だが、その胸は確かに温かい希望で満たされていた。

いつも読んでくださり、ありがとうございます。

良ければブックマークと評価をお願いします。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ