第89話 ルミナスブレイブ VS 黒姫
ルミナスブレイブと黒姫が、同時に第7階層へと降り立った。
そこは、漆黒の石畳が広がる広間。天井には魔法陣が浮かび、戦いを監視する王国魔導士たちの魔眼が光っている。
「――アナウンスします!」
響き渡る声が会場全体に届いた。
「現在順位第2位、ルミナスブレイブ! 第3位、黒姫!
世紀の戦いが、いま始まる!!」
観衆の歓声が爆発した。会場に設置された魔法映像版には、両ギルドの姿が鮮明に映し出されている。
対峙する二つのギルド
■ルミナスブレイブ(ランド王国代表)
剣士 ヒカル(18・男)
剣士 ナオ(17・女)
魔法使い ユウキ(12・男)
拘束士 ミナ(16・女)
僧侶 レナ(21・女)
チアマン ソウタ(18・男)
■黒姫(シーブルー王国代表)
サムライ 咲(18・女)
サムライ 剣神(32・男)
拘束士 縛人(35・男)
奇術使い 否絵炉(45・男)
応援士 爆斗(50・男)
僧侶 歳三(44・男)
ルールはシンプル。相手を全滅させれば勝ち。
一時間以内に決着がつかなければ、残存人数で勝敗が決まる。
負けたギルドは即時追放。命は保証されるとはいえ、敗北は即ち国の威信を失うことを意味した。
--開戦--
空気が張り詰めた刹那――動いたのは剣神だった。
その鋭い眼光が、ユウキに向けられる。
「速いッ!」
剣神は疾風のように駆け抜け、まだ子供の魔法使いを狙う。
剣の一閃。届かないはずの距離から放たれた居合の風圧が、刃のように空間を裂く。
「……来る!」
ナオが即座に反応し、ユウキの前へ飛び出した。剣を振り抜き、風圧を打ち払う。
衝撃に足を取られそうになりながらも、彼女はユウキを守り切った。
「ありがと、ナオさん!」
「平気! 私が守るから!」
--剣神 vs ヒカル--
その光景を見たヒカルは、すぐに判断する。
(やはり剣神が一番危険だ……!)
剣を構え、一直線に剣神へと突進する。
剣神もまた動きを止め、距離を測りながら不敵に笑った。
「“神裁”か……面白い」
互いに間合いを探り、鋭い視線がぶつかり合う。
--ナオ vs 咲--
一方、ナオは咲を見据え、真っすぐに駆けた。
サムライ同士、剣と剣が激しく打ち合う。
しかし、咲の動きはどこか不自然だった。感情の色が薄く、ただ剣神の影のように戦っている。
「咲さん……! あなた、本当は……!」
ナオの瞳に、確信が宿る。
(操られてる……剣神に!)
間近で剣神の気配を感じ取ったからこそ分かった。
剣神の正体――それは人ではなく、悪魔だった。
--魔法戦--
黒姫の奇術使い・否絵炉が、ユウキへ無数の魔法ナイフを投げ放つ。
「ガキを黙らせろ!」
ユウキは氷の盾を展開し、刃をすべて弾き返した。
「僕を甘く見ないでください!」
--応援士の戦い--
爆斗が高らかに声を張り上げる。
「黒姫に勝利を! 敵に絶望を!」
ルミナスブレイブの全員に、攻撃低下と精神減衰のデバフが襲い掛かる。
すかさずソウタが立ち上がった。
「負けるかよ! 全員、立ち上がれ! 俺たちが最強だ!!」
力強い豪援の声が響き、黒姫のデバフをかき消す。
応援士同士のぶつかり合い。まさに応援合戦となった。
--僧侶対決--
僧侶の歳三が冷静に全体を観察し、回復と防御バフを回す。
「まだまだ余裕じゃな」
しかし、その背後にレナの気配が迫っていた。
「――広域雷撃・改・局所集中雷撃!」
広範囲の雷撃を一点に集めた必殺の魔法が、歳三を貫いた。
「ぐっ……!」
歳三は回避を試みたが、ミナの鎖がわずか一秒、体を拘束する。
「っ……これは……!」
逃げ場を失った歳三は、雷撃をまともに浴び、光に包まれて倒れた。
黒姫の僧侶、戦線離脱――。
蘇生不能のルールの下、この一撃は決定的だった。
「やった……!」
レナの額に汗が滲む。僧侶同士の勝負は、完全に彼女に軍配が上がったのだ。
--咲とナオ--
残された戦場で、ナオはなおも咲を押し返そうとする。だが、縛人が加勢に入り、数的不利を強いられる。
咲の剣がナオの頬をかすめる。
「咲さん! 目を覚まして! あなた、本当はこんな戦い……望んでないでしょ!」
しかし、咲の目に光はなく、ただ剣神の影に従うように刃を振るっていた。
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