第83話 立て直し
階段の踊り場。
魔法掲示板に「ルミナスブレイブ第4階層へ1位通過」と表示された瞬間、観衆は大歓声に包まれた。だが映像に映る彼らの姿は――輝かしいものとは程遠い。
ユウキは壁に凭れかかり、汗で髪を張りつかせて息を荒げていた。
レナも膝を抱えて座り込み、顔色は青白い。
ソウタは床に手をつき、肩で大きく息をしている。
「……っ、く、くそ……一気に力を使いすぎたな……」
ソウタがかすれ声で吐き出す。
「……ごめんなさい……。わたし、制御がうまくできなくて……」
レナの声は震えていた。
ユウキは必死に顔を上げ、弱々しく笑みを浮かべる。
「いいえ……レナさんのおかげで……あそこまで……。ソウタさんも……ありがとう……」
「無理すんな!」
ミナがすぐさま駆け寄り、ポーチから回復薬を取り出す。
「ほら! スタミナ回復ポーションと精神回復、いっぺんにいっとこ!」
ナオも片膝をつき、ユウキの肩にそっと手を置いた。
「……大丈夫。まだ動けるよ。わたしたちが守るから、少し休んで」
その声は穏やかで、しかしどこか神々しい力強さが滲んでいた。
「ありがとう……ナオさん……」
ユウキが目を閉じ、彼女の言葉を頼るように息を整える。
ヒカルは全員の様子を見渡し、静かに頷いた。
「ここで崩れるわけにはいかない。……一度、全員で立て直そう」
彼は剣を鞘に収め、腰から回復のスクロールを取り出す。
「《リジェネレーション・サークル》」
淡い光の輪が床に広がり、仲間たちを包み込む。
温かな癒しが体の奥へと染み込み、緊張でこわばっていた筋肉がほぐれていく。
「……あ、少し楽になった……」
レナが安堵の息を漏らす。
「俺も……もうひと踏ん張りできそうだ」
ソウタが拳を握り直す。
ユウキは息を整え、再び仲間に向かって微笑んだ。
「みんな……ごめんなさい。でも、もう大丈夫です。……まだ戦えます」
「……無茶すんなよ。お前が倒れたら、俺たちは勝てない」
ヒカルはそう言いながらも、少年の決意に目を細めた。
ミナが手を叩き、明るく笑う。
「よっしゃー! 全員リフレッシュ! んじゃ次の階層、ぶっちぎっちゃお!」
立ち上がる仲間たちの背中を、暗い第4階層への階段が待ち受けていた。
緊張感とわずかな不安を抱えつつも、彼らは一歩、また一歩と進んでいく。
ヒカルは、次の階層は何だったか、前世の記憶は奮い起こしていた。
これ以上の大人数戦は、ユウキたちの体力にも限界がある。
実は、前世のゲーム時代、ヒカルは、この魔王城のダンジョンで1位は取れていない。
1回しか挑戦できないダンジョンのため、記憶も曖昧であった。
でも、今回はこの仲間で必ず、1位を取る。ヒカルは強く決意した。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
良ければブックマークと評価をお願いします。励みになります。




