第80話 他国ギルドの妙
王都の大広場。巨大魔法映像版の前には、身動きが取れないほどの人々が詰めかけていた。
「……あれ、やっぱ変じゃない?」
一位を突っ走るギルド〈タガ〉の映像を見て、観衆のあちこちからざわめきが起こる。
ダーゲリを先頭に、彼らは走り抜けているだけにしか見えない。にもかかわらず、後方に立ちふさがる敵は、何の前触れもなく次々と崩れ落ちていく。剣も魔法も振るっていない。
「なんで戦ってないのに、敵が倒れてんだ……?」
「秘術ってやつか……?」
観客たちの声は困惑に満ちていた。
その様子を最前列で見ていたチャランも首をかしげる。
「いったい何が起こってんのさ! ぜんぜん分かんないよ!」
すると、横にいたチャイが胸を張った。
「チャイ、わかる!」
「えっ、わかんの!?」ポランが驚く。
「秘術っていうのはね……素粒子コントロールの術なんだよ」
チャイの瞳が神秘的に光る。
「すべてのものは、ちっちゃな素粒子でできてる。〈タガ〉は、そのごく一部――心臓の素粒子だけを狙って、崩壊させてるんだ。だから触れるだけで敵が倒れるの」
チャランもポランも、ぽかんと口を開けて聞き入っていた。
「特にギルマスのダーゲリは、一人で同時に百か所の素粒子を触れる。つまり……百体まで瞬殺できる」
「ひ、百体!?」
ポランが小さく震えた。
「そんなの……ありえないよ……」
映像は〈黒姫〉に切り替わる。
剣神と呼ばれる男が大群の中を駆け抜け、一振りで敵が吹き飛ぶ。咲が遠くから剣を抜いて、鞘に戻す。それだけでボスが崩れ落ちる。
「……暴力そのものだ」
チャイは小さく呟いた。
「黒姫の剣神と咲は、純粋な暴力。特に剣神は危険。咲は……剣神に操られている」
「えっ!? 操られてる!?」ポランがさらに目を見開く。
「チャイちゃん……なんでそんなの分かるんだよ……」チャランが思わず引き気味に問う。
しかしチャイは、にこっと笑って肩をすくめた。
「チャイはね、なんでもお見通しなの」
双子は顔を見合わせ、あきれと驚きが混ざった表情を浮かべた。
だが、ポランがきゅっと拳を握りしめる。
「……でも、きっとヒカル兄ちゃんたちがやってくれるよ!」
「そうだよな! ルミナスブレイブなら絶対勝てる!」
チャランも叫ぶ。
「うんっ!」
チャイも大きくうなずいた。
三人は映像に映る仲間たちの姿に、心を込めて声援を送った。
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