第70話 小惑星激突
■精神干渉を超える者
それでも、影響を受けない者が三人いた。
同族である悪魔の血を引くリュウ。
天敵である天使の血を継ぐリリカ。
そして――ヒカル。
「……おや?」
ルシフェルが片眉を上げる。
「精神干渉が、効かない?」
彼女は確かに見た。精神干渉を行うために対象を凝視したその瞬間――ヒカルの身を白銀の光が覆ったのを。
「"神化"……!?」
ヒカルは静かに口元を歪める。
「そのモーション、見たことあるんだよ。だから、タイミングを合わせて発動したまでさ」
そして、声を張り上げた。
「ナオ!! お前が何者かはお前自身が決めろ!
お前は、この世界で神魔に覚醒した最も力ある人間だ!
その力を――いまこそ証明しろ!」
■ナオの覚醒
「……わ、たしは……」
ナオの目が揺らぎ、次の瞬間、確かな光を宿した。
「私は……わたしのために!仲間のために!両親と、この世界のためにも……あなたを倒します!!」
おっとりした普段の彼女からは想像できないほど強い声。
右半身が白銀に輝き、背には光の翼が広がった。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
咆哮とともに突撃するナオ。
ルシフェルの瞳が焦りに歪む。
「ば、馬鹿な……ただの薄まった末裔じゃないのか!?」
ナオの大剣が胸を貫き、魔装バリアが粉砕する。
その瞬間、ナオは力尽きて倒れ、リュウとリリカが彼女を抱きとめた。
だが、ナオの光が仲間たちを解き放っていた。全員が正気に戻る。
■総攻撃
「今だ!」
ミナが再び拘束を決め、ソウタが全力で応援を重ねる。
「行けぇぇぇぇ!」
仲間たちの力が一気に引き上げられる。
ユウキが震える声で詠唱を始めた。
「……マジックセイムタイム……999セット」
その声に全員が耳を疑う。魔法同時実行数999だと!?
ユウキの頭上遥か上に浮かんだファイアーボールは999個。やがてそれらは一つに融合し、小惑星ほどの巨大な火塊となった。
「いけええええええええええええええええええ!」
ユウキが絶叫とともに放つ。だが――すぐに彼のMPが枯渇しかけ、炎が揺らぎ始める。
「く…」
ユウキが倒れそうになる。
「……ほらみろ、人間の限界だ!」
ルシフェルが嘲笑を上げる。
そのとき、ユウキは振り返り、レナを見つめた。
「レナさん……僕は、信じてます……」
レナは瞳を強く閉じ、両手を掲げた。
「……MPリサイクル!!!」
仲間全員の魔力がユウキへと流れ込み、燃える小惑星は再び勢いを取り戻す。
「うわああああああああああああああああああ!!!」
絶叫とともに、ユウキが小惑星をルシフェルへ叩きつける。
悪魔の女は目を見開き、絶望に歪んだ顔で叫んだ。
「そ、そそそそそんな……!?」
数千年の悪魔の歴史の中で、一度も見せたことのない情けない声が、その唇から漏れ出した――。
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