第59話 母と娘 ― 拘束士の血統修行
場所は、白銀の双剣が所有する隠された訓練場。
岩肌に囲まれた静寂の空間に、母アリスとミナは向き合っていた。
アリス(鋭い眼差しで娘を見据えながら):
「……ミナ。拘束士の力は単なる技術じゃない。
敵の動きの“隙”を読む心眼――これがあって初めて真価を発揮する。」
ミナ(息を呑み、こくりとうなずく):
「……“隙”を読む……?」
アリス:
「そう。“拘束できる瞬間”は必ず存在する。
だが力任せに仕掛ければ、反撃されるだけ。
見るのよ――敵の重心、呼吸、視線、わずかな魔力の揺れ。
それを一瞬で掴み取る。それが《みやぶる》よ。」
アリスはミナに向けて剣を向ける。
アリス:
「これを見破れるかしら?」
ミナは集中する。だが――アリスの動きは読めない。
ミナ:
「……っ! どこに隙が……?」
アリス(微笑を浮かべて):
「焦らないで。隙は“感じる”もの。
目に見えなくても、相手の意識と繋がっている。
自分の心を静め、相手の鼓動を聴きなさい。」
何度も繰り返し、ミナは汗だくになりながら挑戦する。
呼吸を合わせ、相手の気配を読む――。
やがて、瞬間的にアリスの鼓動の変化が起きた時、ミナはその方向を“感じ取った”。
ミナ:
「――ここ!」
シュッと光の鎖を放ち、アリスを捕らえる。
アリス:
「……やるじゃない。
これが《みやぶる》。拘束の成功率を飛躍的に高める、最強の技よ。」
疲労の中、ミナは嬉しそうに笑う。
「お母さん……! わたし、ちゃんとできた……!」
アリスはその笑顔を見つめ、表情を和らげる。
「ええ。あなたは私の娘。必ず一流の拘束士になれる。
でも忘れないで。拘束士の力は“仲間を活かす”ためのもの。
自分一人のために振るう力ではないのよ。」
ミナは深くうなずき、決意を胸に刻む。
「うん……絶対に、仲間を守る力にする!」
こうしてミナは《みやぶる》を会得し、母アリスから真の拘束士としての第一歩を授かる。
その瞳には、母を超える未来の拘束士の光が宿っていた――。
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