第56話 悪魔ルシフェルの影
ランド王国は、祭の熱気に包まれていた。
ダンジョンキングオーダーを終え、王都はまだ勝者たちの話題で持ちきり――
その最中だった。
白昼。王の間に、黒い霧が渦を巻いて広がる。
玉座に座るランド王も、剣を構える近衛も、声を失った。
「……誰だ」
霧の中から、ひとりの女が歩み出る。
しなやかな肢体に漆黒の翼、瞳は紅玉のように妖しく光り、笑みを浮かべていた。
「我が名はルシフェル。かつて人の愚かさに呼び出された悪魔……」
その声は甘美でありながら、聞く者の魂を削る。
ランド王は即座に剣を構える。
「護衛! 王女を――」
だが、すでに遅かった。
玉座の後ろにいたはずの姫は、闇に呑まれ、ルシフェルの腕の中に抱かれていた。
「助けたくば……王国民一万人を我に生贄として捧げよ」
言葉を残し、悪魔は笑いとともに消え去った。
玉座の間に絶望だけを置き去りにして。
◆王の召喚
「……ルミナスブレイブを呼べ!」
すぐに、王城に仲間たちが集められた。
ヒカルを先頭に、ソウタ、レナ、ナオ、ユウキ、ミナ、そしてチャイが姿を現す。
王は玉座から降り、直に彼らへ告げた。
「娘を奪われた……ルシフェルを討ち、姫を救い出してほしい」
仲間たちは視線を交わす。
ミナが最初に口を開いた。
「やるっしょ、当然!」
ユウキは静かに頷き、
「ですが……居所が分からないままでは」
その時だった。
◆白銀の双剣の告白
重厚な扉が開き、二つの影が差し込む。
――リュウとリリカ。かつて大会で覇を競った、伝説の双剣士。
「……俺たちなら、居所が分かる」
リュウの言葉に、場の空気が揺れる。
ランド王が目を見開いた。
「どういうことだ、リュウ」
リュウはゆっくりと剣を抜き、刃に映る己の姿を見つめる。
「俺は――4000年前、人と悪魔の間に生まれた子供の血を引いている」
衝撃が広がる。
そしてリリカが続けた。
「私も同じ。私は……天使と人間の間に生まれた子供の末裔」
場にいた誰もが息をのんだ。
天使と悪魔。
光と闇、相反する存在の血を継ぐ者たちが、今、真実を明かしている。
「4000年前、なぜそんなことが起きたのかは……またの話にしておこう」
リュウは刃を鞘に戻し、まっすぐルミナスブレイブを見据えた。
「だが、俺の血は悪魔の波動を感じ取れる。ルシフェルの居所も、分かる」
ヒカルは、リュウとリリカの強さの理由が分かった気がした。
(てことは、ナオのスピードとパワーは天使と悪魔の系譜を継いでいるってことか…)
◆新たなる旅立ち
ルミナスブレイブの仲間たちは、胸の奥で熱が湧き上がるのを感じていた。
「悪魔か……面白いじゃん」ソウタが笑う。
「でも、今度ばかりは遊びじゃ済まないわね」レナは冷ややかに呟く。
ナオは拳を握り、瞳を燃やす。
(っていうか私、天使と悪魔の血を引いてるってこと!?)
王は重々しく頷いた。
「娘を……ランドを、頼む」
そして、伝説と新世代が肩を並べる。
悪魔の血を継ぐリュウ、天使の血を継ぐリリカ。
人の限界を越える可能性を秘めたルミナスブレイブ。
――こうして、悪魔討伐の旅が始まる。
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