第43話 ダンジョンキングオーダー・パーティ編 ― 開幕式
大会当日。
ランド王国最大の円形闘技場――数万人を収容できる観客席はすでに満員だった。
大きな魔導スクリーンに街の広場や広域転送魔法で集まった群衆の映像も映し出され、熱気は最高潮に達している。
前回は、ギルドハウスの魔法陣から挑戦したのだが、今回は、注目の6ギルドを集めて、盛大に盛り上げたいというのが、ランド王の要請であった。そこでヒカル達は、円形闘技場に集まることになった。
実況アナウンス(魔導マイク越し)
「――さぁ! 待ちに待ったダンジョンキングオーダー・パーティ編!
本日の出場は、伝説と栄光、そして新星が入り乱れる前代未聞の六ギルド!
歴史に残る戦いになることは間違いないでしょう!」
観客「おおおおおおおお!!!」
入場シーン
実況
「それでは! 一つずつギルドの登場です!」
トラベラント
光の演出とともに、金色のマントを羽織った戦士たちが登場。
リーダーは堂々と剣を掲げる。
実況
「まずは王道にして最強! 四大ギルドの筆頭、トラベラント!!」
観客の歓声は爆発的。
「トラベラントー!」「やっぱり優勝候補だ!」
白姫
純白のドレスアーマーに身を包んだ女性陣が舞うように登場。美しさと気品が会場を魅了する。
実況
「続いては気高き白の姫君たち! 優雅なる強者集団、白姫!!」
観客「キャー!」「麗しいー!」
デビルズ
黒いローブに身を包み、悪魔の仮面をかぶった魔導士たちが登場。炎や闇のエフェクトを派手に炸裂させる。
実況
「そして! 悪魔的強さで知られる実力派! 支援も火力も兼ね備えた異端のギルド――デビルズ!!」
観客「うおお!」「やべぇ、本物の魔王軍みたいだ!」
ルミナスブレイブ
光の粒子が舞う中、ヒカルを先頭に全員で並んで入場。ユウキの杖がきらめき、ミナがドヤ顔で手を振る。レナとナオも笑顔で手を振り返し、ソウタは肩をすくめつつ観客へウィンク。
実況
「前回4位からの逆襲! 新星にして四大ギルドへ駆け上がった挑戦者!ランドの守護者!
いまやナンバーワンの期待も高い、ルミナスブレイブ!!」
観客「ヒカルー!」「ミナちゃーん!」「ユウキー!」「ソウタかっけぇ!」
白銀の双剣
二人だけのペアギルド。それでも圧倒的な存在感。
銀色の双剣を背にかけたリュウと、白銀の髪をなびかせたリリカが静かに歩みを進める。
実況
「続いて! 伝説が再び舞い戻る! "双剣のリュウ"、"白銀のリリカ"――最強のペアギルド、白銀の双剣!!」
観客「おおおおお!」「本当に来たぞ!」「伝説だ!」
ナオは客席からの歓声に身を震わせながら、両親の姿を見つめていた。
ヒストリー
最後に登場したのは、漆黒と金の紋章を掲げる大所帯。
中心に立つのは、歴戦の英雄たち。
その列の中に、落ち着いた雰囲気を纏う拘束士――アリスの姿があった。
実況
「最後にして最大の驚き! かつてギルド一強時代を築いた伝説のギルド――
ヒストリー!!」
観客「ヒストリーだ!」「まだ活動してたのか!?」「夢じゃないだろうな!」
ミナはドヤ顔を隠すように腕を組みながらも、頬が赤くなっていた。
興奮の渦。
六つのギルドが円形闘技場に揃い、観客のボルテージは最高潮に達する。
光と音が交錯し、空気が震える。
実況
「さぁ! トラベラント、白姫、デビルズ、ルミナスブレイブ、白銀の双剣、そしてヒストリー!
新旧の王者が揃い踏み! 誰が頂点に立つのか――いよいよ、戦いの火蓋が切って落とされます!!!」
観客「うおおおおおおおおおおお!!!」
■試合開始直前 ― 作戦会議
ギルド控室。石造りの部屋に光の魔導灯が灯され、遠くから観客の歓声が響いてくる。
ヒカルはテーブルに広げられた資料を見つめながら、低く声を落とした。
ヒカル
「……白銀の双剣と、ヒストリー。やっぱり噂以上だな」
<白銀の双剣について>
レナ
「二人だけでギルドが成り立つって、普通じゃないよね。
スタン耐性を突破して、ボスまでスタンさせるって……どういうこと?」
ユウキ(目を輝かせながら)
「えっとね、原理的には“ヒット数の暴力”ってやつだよ!
双剣リュウの乱撃と、リリカさんの高頻度魔法が同時に入ると、
通常なら無効化される耐性を突破して、強制スタンにできるんだ!」
ナオ(驚きの声)
「……え、それってつまり、ボスが棒立ちのまま倒されるってこと?」
ヒカル(うなずく)
「ああ。拘束士も僧侶も不要だ。攻撃がすべて守りになる。
だから二人でもパーティとして成立する」
ミナ(ドヤ顔で腕を組み)
「えー、ちょっと待って。アタシの拘束士いらないとか、マジ聞き捨てならんのだけど?
でも、まぁ……正直ちょっとカッケーな。イケてるって感じ」
ソウタ(苦笑しつつ)
「お前、すぐ人の技に憧れるな。でも、確かにヤバい組み合わせだな……」
<ヒストリーについて>
ヒカルは資料の別のページを指差した。
ヒカル
「それと……本当に脅威なのは、ヒストリーのほうだ」
ユウキ(身を乗り出して)
「わ、わかる! だって、ギルマスのショーンって名前が出てきただけで鳥肌ものだよ!
“時空魔導士の教科書”って言われる人でしょ!?ストップ魔法が……なんと、6秒間……!」
ミナ(ハッとしながら)
「ちょ、6秒!? それってアタシの拘束魔法と合わせたら……」
ヒカル
「……12秒間、敵を動けなくして攻撃できる。
しかもショーンは加速魔法も使える。仲間が2倍速で動けるんだ。
つまり、実質12秒どころじゃない」
部屋の空気が重くなる。
ソウタ(真剣な声)
「……完全に“動けない敵を嬲り殺すスタイル”ってわけか。
しかも、ミナの母さん、拘束士アリスさんまで一緒だろ? 補完関係は完璧だな」
ミナ(苦笑いしつつ)
「はぁー……アタシのママ、マジでバケモンだからね。
あの人の拘束、ホントに外れないし。
なんかさー、勝てる気しねーわ」
レナ(優しく笑って)
「ミナちゃん、そんなこと言わないの。
私たちだってここまで強くなってきたんだから」
ナオ(拳を握り)
「……そうだね。相手が伝説だろうと、私たちだって挑戦者だ!」
<ヒストリーのシノビ4姉妹について>
ユウキ(メモをめくりながら)
「あと、ヒストリーには“シノビ4姉妹”がいる。
リリー、サリー、ミリー、アリー。
彼女たちはデビルズの龍さんと光秀さんの師匠だったらしい」
ソウタ(目を丸くして)
「師匠って……龍と光秀より上ってことか?」
ヒカル(小さく首を振り)
「それは分からない。少なくとも、修行をつけてやるほどの腕はあるってことだ。
でも全盛期かどうかは未知数。油断はできないな」
<まとめ>
ヒカルは皆の顔を順番に見渡し、口を開いた。
「結論として……白銀の双剣は“絶え間ないスタン”で封じてくる。
ヒストリーは“時間そのものを止める”……。
二つの古参は、いずれも“敵を動かさない戦い”に特化している。
だが、俺たちには俺たちのやり方がある。
ユウキの同時魔法、ミナの拘束、ナオの爆発力、レナの支援、ソウタの応援。
……勝てる可能性は十分にある」
部屋に静かな緊張感が走る。
だが、その中で――
ミナ(ニカッと笑って)
「おっけー! じゃあアタシらは、伝説に勝って伝説になるってわけね。
いけるっしょ!」
仲間たちは、その言葉に自然と笑みを浮かべた。
緊張は消えないが、確かにここに戦う勇気がある。
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