第40話 禁忌の魔術師カイ
鉱山都市の外れ、ひっそりとした洞窟の入口。ルミナスブレイブの一行が立ち止まる。チャイは少し不安そうに手を握る。
「ここ……ここだよね、チャイちゃんの記憶だと……」ナオが周囲を見回す。
「うん……でも、あの大きな扉の奥は危ないかも……」チャイが小さな声でつぶやく。
ユウキは床に魔法陣を描き、追跡魔法を起動する。
「光の粒を拡散……チャイの記憶と重なる魔力痕跡を感知。粒がカイがいるであろう方向に集まる。あそこ……奥の扉の向こうにカイの魔力が集中している。」
ミナが拳を握り、笑顔で言う。
「いけるっしょ! アタシ、縛る準備万端だし!」
ソウタがヒカルに小声で確認する。
「ヒカル、この状況、慎重に行くべきだな。魔術師一人で、罠も多そうだ。」
ヒカルはうなずく。
「ああ。まずは偵察を優先。必要なら、俺とナオで突破口を作る。」
ナオは大剣を背中に構え、言う。
「えへへ、じゃあアタシが突撃役ね! チャイちゃん、安心して!」
洞窟内は暗く、壁面には鉱石の光がわずかに反射している。チャイは少し怖がりながらも、人間の姿でヒカルたちの間に入る。
「ここ、通ったことある?」ミナが小声でチャイに聞く。
「たしかこの辺だったかも……」チャイが小さく頷く。
ユウキが魔法の光で周囲を照らしながら、言う。
「あの扉の奥が怪しい……トラップもあるかもしれない、慎重に。」
ナオは先頭を歩きつつ、雑魚モンスターが出現すると大剣で瞬時に制圧。
ミナも「アタシはこっちで縛る!」と叫び、光る鎖を敵の集団に向かって飛ばす。
敵が束ねられると、ナオの大剣が複数体を一度に薙ぎ払う。
「うわっ、すごい! 縛るタイミング完璧だね、ミナ!」
ユウキが感心する。
そしてユウキも、マジックセイムタイムで同時に突風魔法を6つ展開し、雑魚を吹き飛ばす。
やがて奥の大扉前に到達。扉は魔力で封印され、複雑な魔法陣が描かれている。
ヒカルが低くつぶやく。
「あの魔法陣……カイの結界だな。慎重に解除しないと、即死罠もありそうだ。」
ユウキは頷き、「了解。追跡魔法で魔力の流れを見ながら解除する。」
ユウキによって、結界を解く。
ナオは「じゃあ開くね!」と扉を押す。
扉が開き、中は暗く広い魔術研究室。中央にはカイが腰を下ろして魔法書を弄っている。
カイは顔を上げ、冷たく笑う。
「来たな……冒険者ども。お前ら、また俺の計画を邪魔するのか。」
ナオが前に出る。「えへへ、やっちゃうよ!」
ミナは光る鎖を握り、「もう前回みたいに逃さないからね。」
ユウキが魔法陣に手をかざし、「前のように甘くみないほうがいいですよ。」
「ふんっ、ああそうかい。これでもそんなことが言ってられるかな!」
カイが動きだす。
ソウタが叫ぶ。
「くるぞ!」
カイは高位魔法を繰り出して攻撃してくる。瞬間的に地面を凍らせ、こちらの足元を凍結し、動けなくする。そこに、炎の竜巻、雷撃の集中攻撃……複雑な連続攻撃を繰り出す。
「「「なっ!やばいっ」」」
慌てるルミナスブレイブの面々。
しかし、冷静な少年が一人いた。
「マジックセイムタイム!5セット!!」
ユウキは魔法でカイの魔力流を読み取り、5つの魔法を瞬時に組み合わせて回避と足止めを同時に行う。
炎魔法で足元の氷が解かし、炎の竜巻を水魔法でかき消し、雷は突風で霧散、味方を自由にする。
さらに、逆にカイの足元を凍結し、カイに炎の竜巻を繰り出す。
ユウキは、これらを一瞬で同時にやってのけた。
「「「や、やば…」」」
ヒカル達は味方ながら、ユウキがやってのけた所業に唖然とする。
いや、一人、ユウキに触発され、機敏な動きを見せるものがいた。
ナオだ。
ユウキの対抗措置に慌てたカイの隙を見逃さなかった。
ナオは高速突きと高速の横薙ぎでカイを押し込む。
魔法の壁でカイは防御するが、ナオが速すぎてバランスを崩す。
そこに、ミナが光る鎖でカイを拘束、電撃を叩き込む。
「いけるっしょ!」ミナが叫び、縛りと電撃の連携が成功。
カイは、堪らないといった顔持ちで、とっておきの一手を決意する。
「く、くそ…ここまでとは…」
「私はここで終わるわけにはいかないのだああああ!」
「いでよ!デモンズゲート!!!!」
黒と白の魔法陣が展開する。
「悪魔召喚!」
魔法陣が白みを帯びて、所々が黒く鈍く光る。
その中から、一角をもった女の悪魔が現れる。
「また、おまえか。」
つまらなそうな顔をする悪魔。
「さあ、ルシファー、こいつらが召喚の代償だ。喰っていいぞ!」
カイはヒカル達の方を指さす。
「お、今回はエサが沢山。ドラゴンまでいるじゃない!」
人間形態になっているチャイがドラゴンであることを一瞬で見抜く。
「カイもたまには良い仕事するわね。」
ルシファーと呼ばれた悪魔の女は、そう言うと、こちらに向き直る。
ソウタが叫ぶ。
「やばい、く、くるぞ!」
「悪いけど、死んでもらうわね。」
そう言うと、ルシファーの体から、悪魔の黒い残像が無数に飛び出て、こちらに向かってくる。
とにかく、やばいということだけは分かる。
しかし、俺達は無事だった。
ルシファーは少し驚いた顔で言う。
「ほう…意外ね。」
ナオが気づく。
「もしかして、今のそ、そそそそ即死攻撃!?」
「ふぅ、一応、即死無効を発動しておいたぜ。」
ソウタだ。
カイは驚愕した。
「な、なんだ……悪魔の即死攻撃が効いてない!?」
「カイ、なんかこの子達、私、気に入っちゃった。もっとじっくりやらせてもらうことにするわ。」
「じゃあ、皆さん、またね~」
そういうと、ルシファーは霧散して消えた。
「え・・・・」
目が点になるカイ。
そのまま力なく座り込むカイ。
ミナがしっかりと光る鎖でカイを拘束する。
「私の出番なかったじゃない。」
微笑みながら、レナが言う。
「ああ、俺もだ。すごいチームになったな。」
ヒカルが続く。
ユウキも少し照れながら、「師匠、僕の成長を見ててくれたら、喜んでくれるかな……」
戦闘後、チャイは駆け寄り、「わ、わたしの家族、無事だよね!?」
ナオが笑顔で頷く。「えへへ、もちろんだよ!」
ヒカルは深く息をつき、「これで一件落着だな……」
チャイは人間の姿のまま両手を握りしめ、「みんな、ありがとう……!」
このあと、ルミナスブレイブは無事にチャイの家族を救出し、鉱山都市を後にする。
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