第31話 いざ!ソロオーダー本番へ
◆ソロオーダー本番 ― 王都広場
王都ランドの中央広場は、朝から祭りのような熱気に包まれていた。
広場の中心には巨大な魔法陣が描かれ、その周囲には魔力で動くスクリーンが浮かび、挑戦者たちの戦いをリアルタイムで映し出している。
広場の四方には魔法掲示板。そこにはベスト100の記録が刻まれ、順位の更新ごとに歓声が上がる。
物理職編の初日、すでにランキングは白熱を極めていた。
現時点の1位は白姫のギルマス、舞だった。
ベスト10の顔ぶれもトラベラント、白姫、デビルズの面々だ。
「すごい人だね……! まるでお祭りだよ!」
ナオは目を輝かせながら、広場の喧噪を見回した。
「気を散らすな。今日の挑戦は一日一回、合計三日間だけの挑戦だ。全部を出し切れ」
隣に立つヒカルが短く言う。
昼時、挑戦枠にナオの名が呼ばれる。観客席の一部がざわついた。
「新人だろ?」「どこのギルド所属だ?」「ルミナスブレイブらしいぞ」――そんな声が交わされる。
◆挑戦開始
ナオが魔法陣に足を踏み入れた瞬間、光が彼女を包み、仮想のダンジョンへと転送された。
その姿は広場の大スクリーンに映し出される。
「さあ、ここからだ……!」
大剣を握り直し、ナオは走り出した。
◆雑魚戦
骨兵士の群れが前方から迫る。
練習通り、ナオは一直線に走り抜けながら、範囲を見極めてまとめて薙ぎ払った。
刃の軌跡に重なるように、3体、5体、そして7体と一気に崩れ落ちる。
「すごい! 一振りであれだけ倒したぞ!」
「新人じゃない、動きが洗練されてる!」
観客席から歓声が飛ぶ。
続く小鬼の群れも、最短経路を外さず、軽い突きで1秒処理。
横凪ぎで3体以上をまとめる時と、単体処理を切り替える時の判断が冴えていた。
練習で培った「空振りゼロ」が、タイムを一気に縮めていく。
◆ボス戦 ― 呪われた王
重厚な扉を押し開け、王の間へ。
巨躯の鎧騎士が立ち上がり、大剣を振り上げた。
(次は横薙ぎ!)
ナオは即座に身を低くし、反撃の縦斬りを叩き込む。
「おおっ……攻撃を読んでる!?」
「避けながら当ててるぞ!」
観客たちがざわめいた。
振り上げ、横薙ぎ、縦切り、突きの連打――そのすべてをナオは読み切り、最小限の動きで回避し、反撃を加える。
やがて必殺技の構え。
ナオは床を蹴り、横へ跳躍。直後、地面が裂ける轟音。
「……耐えた!」
広場の観衆が一斉に沸き立つ。
必殺技の隙を逃さず、大剣を振り下ろす――
鎧の巨体が崩れ、砂塵の中で霧散した。
◆結果発表
ナオが光に包まれて広場へ戻る。
掲示板に、新たな記録が刻まれる。
187秒。暫定5位。
広場がどよめき、歓声が爆発した。
「無所属の少女がトップ5入りだ!」
「185秒のアランに肉薄してるぞ!」
「いや、これ、初挑戦でこのタイムはとんでもない……!」
ナオは息を弾ませながら、信じられないといった顔で掲示板を見上げた。
「やった……! 練習通りにできた!」
ヒカルは微笑を浮かべ、小さく頷いた。
「上出来だ。胸を張れ」
◆デビルズのシノビ登場
だが、会場の熱狂はさらに続いた。
夕刻、デビルズの二人のシノビ――龍と光秀が挑戦に現れたのだ。
「おい……来たぞ!」「デビルズのエース二人だ!」
会場は騒然となり、注目が一斉に集まる。
二人の動きは異次元だった。
影のような身のこなしで敵を抜け、最短経路を疾風のごとく駆け抜ける。
ボス戦ですら、二人は踊るように避け、瞬きの間に決着をつけた。
「うわあああああ! 龍と光秀がワンツーフィニッシュだ!」
「記録が……壊れてる……!」
「でもナオって子、新人なのに7位で残ってるぞ!」
歓声と驚きの中、ナオの名も強烈に刻まれていた。
初挑戦にしてベスト10入り――王都の広場は、その快挙を見届けたのだった。
◆ソロオーダー 昼時点ランキング(物理職編)
順位名前ジョブ所属ギルドタイム
1位 舞 サムライ 白姫 180秒
2位 ダイン 剣士 トラベラント 182秒
3位 メアリー 剣士 トラベラント 183秒
4位 アラン 剣士 デビルズ 185秒
5位 ナオ 剣士 ルミナスブレイブ 187秒
6位 ゲン サムライ デビルズ 195秒
7位 想 サムライ 白姫 200秒
8位 源水 サムライ トラベラント 213秒
9位 ブライアン 剣士 トラベラント 221秒
10位 ダグラス シノビ トラベラント 228秒
◆ソロオーダー 初日終了時ランキング(物理職編)
順位名前ジョブ所属ギルドタイム
1位 龍 シノビ デビルズ 123秒
2位 光秀 シノビ デビルズ 124秒
3位 舞 サムライ 白姫 180秒
4位 ダイン 剣士 トラベラント 182秒
5位 メアリー 剣士 トラベラント 183秒
6位 アラン 剣士 デビルズ 185秒
7位 ナオ 剣士 ルミナスブレイブ 187秒
8位 ゲン サムライ デビルズ 195秒
9位 想 サムライ 白姫 200秒
10位 源水 サムライ トラベラント 213秒
◆仲間たちの反応
■ソウタ ― トラベラントの古巣にて
「よっしゃ、今日は応援バフの新パターン仕込むぜー!」と汗を流しながら訓練していたソウタのもとに、ギルドの仲間が駆け込んできた。
「おいソウタ!ニュース見たか!? ルミナスブレイブのナオちゃん、ソロオーダーで7位だってよ!」
「……マジか!? ナオちゃん、やるじゃん!」
ソウタは大声をあげて笑った。
「やっぱウチの仲間は最高だな! 俺も負けてらんねぇ! 応援スキルでさらに火力ブースト覚えて、次のパーティオーダーでナオちゃんの剣ぶん回しをもっと輝かせてやるんだ!」
周囲の仲間たちも「ソウタ、お前んとこのギルド、マジ勢いあるな」と感心し、ソウタは照れながらも胸を張る。
■ミナとレナ ― デビルズでの修行中
デビルズの拠点にて。拘束士シバの神業のようなデモンストレーションを食い入るように見ていたミナの耳に、仲間の声が飛ぶ。
「なぁ、ナオって子すごいじゃん! 7位だってよ。ルミナスブレイブから出てるんだろ?」
「へぇ〜。だったら、こっちに引き抜いちまう?」と冗談半分に笑うデビルズのメンバー。
するとレナが即座に切り返した。
「ダメよ。ナオはうちの大剣士。絶対に渡さない」
挑発するように「おいおい、これ以上ルミナスブレイブが強くなったら、俺たち困るんじゃねぇの?」と笑みを浮かべる者もいた。
レナは腕を組み、鋭い眼差しを向ける。
「困らないわ。あんたたちが本当に最強を自負してるならね」
すると、シバが静かに口を開いた。
「心配すんな。俺たちデビルズの実力はもっと上だ。ルミナスブレイブがどんなに伸びても、まだ俺たちの背中は遠い」
自信満々のその言葉に、ミナはむしろ燃えるように拳を握った。
「じゃあ、アタシがその差を詰めてやるっしょ!」
■ユウキ ― 王都の広場にて
広場の魔法スクリーンに映るナオの姿。
「やった……! 本当にやったんですね、ナオさん」
ユウキは思わず拍手をしていた。周囲の観客たちも大歓声。
けれど胸の奥には、不安も混じる。
(来週は僕の番……魔法職編。僕もナオさんみたいに活躍できるだろうか……)
それでも彼は笑顔で空を見上げた。
「大丈夫。必ず答えがあります。僕も、やってみせますよ」
爽やかな笑みを浮かべ、仲間の快挙を心から祝福した。
ヒカルは、感じていた。ナオはこんなものじゃない。
2日目以降の更なる飛躍の可能性を感じていた。
読んでくださり、ありがとうございます。
良ければブックマークと評価をお願いします。励みになります。




