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追放された雑魚剣士、実は最強ゲーム覇者でした。~記憶を取り戻した俺はチート知識で世界をぶっ壊す~  作者: 中瀬
第一章 ワールド覇者編

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第29話 猛特訓

巨大な魔法陣が光り、ナオの身体がふわりと浮き上がる。次の瞬間、転送先の「呪われし亡霊の城」の石畳に足がついた。

 仲間の声も援護もない。聞こえるのは、自分の鼓動と鎧がこすれる音だけだった。


「……わ、わたし一人で……が、頑張るんだよね。えへへ、やっちゃった……」

 自分に言い聞かせるように笑いながら、大剣を握り直す。


 ソロ用に調整されたとはいえ、雑魚の数は多い。しかも、盾役も支援役もいない。すべてを自分の剣と身体で受け止めなければならない。


 最初の分岐通路で、王宮兵士の亡霊が三体現れる。

 ナオは「うわっ! いきなり三人!? 反則じゃない!?」と悲鳴を上げるが、すぐに大剣を振るう。


 ――ガキィンッ!


 一撃で二体を弾き飛ばすが、三体目の槍が肩をかすめた。

「いったぁ! ちょっとぉ! ちゃんと一人ずつかかってきなさいよー!」

 涙目で叫びながらも、反撃の横薙ぎでまとめて叩き斬る。


 だが道中が進むにつれ、ナオの動きはどんどん荒くなっていった。

 仲間がいれば、レナが回復してくれる。ユウキが援護してくれる。ソウタが励ましてくれる。ミナが縛ってくれる。ヒカルが指示をくれる。

 それらがない今、ナオはすべてを自分でやらなければならない。


「くっそ……もうっ……わたし一人じゃ、全然ダメじゃん……!」

 亡霊兵士の剣が何度も鎧に突き刺さる。体力がどんどん削られていく。


 ――それでも、大剣を手放さない。


 思い出すのは、ヒカルの言葉だった。

 「きっとなんとかなる」


「……うん、なんとか……するっ!」

 涙目のまま、亡霊兵士に向かって大剣を振り下ろした。


 やっとの思いで謁見の間にたどり着く。

 目の前には、「呪われた王」。仲間と一緒に挑んだときよりも一回り小さく調整されているが、それでも圧倒的な存在感だ。


「……きゃー! もうっ、怖いってばぁ!」

 大剣を握りしめながら、叫ぶ。


 戦いが始まる。


 最初は押されっぱなしだった。王の剣が振り下ろされるたびに吹き飛ばされ、床を転がる。

 だが、転ぶたびにナオは立ち上がる。

「わたしは……みんなの盾なんだから……!」


 大剣を盾のように構え、必死に耐える。

 隙を見つけては、渾身の一撃を叩き込む。


 そして――


「これでぇぇぇ! 終わりぃぃぃっ!」


 渾身の縦斬りが、呪われた王の胸を貫いた。亡霊の巨体が、光の粒子となって消えていく。


 全身ボロボロになりながらも、ナオは天井を仰ぎ、大剣を杖代わりにして立ち尽くす。

「……はぁ……はぁ……やっ……ちゃった……」


 その顔には、涙と笑顔が混ざっていた。

 一人では何もできないと思っていたけれど、仲間を守りたい気持ちが、自分を立ち上がらせた。


 ナオは、自分自身の強さを、初めてほんの少し信じられたのだった。


眩い光に包まれ、転送が終わる。

 ナオは肩で息をしながら石畳の上に膝をついた。


「……っ、はぁ……なんとか……終わった……」

 初めてのソロ挑戦を乗り越え、呪われた王を打ち倒したものの、全身は傷だらけ、精神もすっかりすり減っていた。


 仮想ダンジョンの光が揺らぎ、景色が消えていく。次の瞬間、二人は王都のオーダー専用の練習場へと戻されていた。


「ナオ、お疲れ」

 迎えたのはヒカルの落ち着いた声だった。


 ナオは、へたり込みながら大剣を抱え込む。

「ひぃ~……わたし、もう二度と一人でやりたくない……」


「でも、できてたよ」

 ヒカルは微笑む。


 ナオは思わず顔を上げる。

「えっ……?」


「雑魚戦もボス戦も、力押しで突破してた。でも、それは“できる力”があるからこそだ。精神面だな。――ナオはソロでも十分やれる。もっと自信を持て」


 ナオは頬を赤らめながら俯いた。

「……そんなこと言われても、怖いものは怖いんだもん……」


「それなら、ひとつ言っておく」

 ヒカルは真剣な目でナオを見る。

「これは王が主催するオーダーだ。仮想ダンジョンだから、死ぬことはない。倒れたら、ダンジョン前に戻されるだけだ。だから――思いっきりやっていい」


「……あ、そっか……。わたし、本気で死ぬかと思ってた……」

「ナオらしいな」

 ヒカルは肩をすくめる。


「次に、道中の戦い方だ」

 ヒカルは指を立てて説明を始めた。

「雑魚は全部倒さないと、ボス部屋は開かない。だから、焦ってまとめて倒そうとせずに、一人ずつ確実に仕留めること」


「うっ……わたし、すぐ横薙ぎでまとめて斬っちゃう……」

「それは悪くない。だが、囲まれると危険だ。ソロでは、確実性を優先しろ」


「……うん」


「それから、ボス戦。呪われた王の攻撃は重いけど、大振りだ。だから、回避を最優先にして隙を狙え。盾役として耐える必要はない。ソロでは“避けて斬る”。これを徹底すれば勝率は上がる」


「避けて斬る……」

 ナオはぎゅっと大剣を握りしめた。


「よし、じゃあもう一度だ」

「ええぇぇ!? も、もう一回!?」


「当たり前だろ。練習期間は三日間しかないんだ。次は二人で入る。ただし、俺は何もしない。ナオの動きを見たいからな」


「ひぇぇぇ~……」

 涙目になりながらも、ナオは立ち上がる。


 再び魔法陣が展開し、二人は光に包まれた。

 転送先は再び「呪われし亡霊の城」。


 ナオは深呼吸をして、大剣を構える。

「よし……今度は、ヒカルの言った通りにやってみる!」


 ヒカルは後方に腕を組んで立つだけだった。

 その視線に背中を押されるように、ナオは二度目の挑戦へと踏み出していった。

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