第28話 四大ギルドへ
◆王城での召喚
鉱山都市での勝利の知らせが王都に届いてから間もなく、ルミナスブレイブには王城からの召喚状が届けられた。
荘厳な王城の謁見の間。高い天井から下がるシャンデリアの光が、白い大理石の床を照らしている。
王――ランド王国を治めるアレス三世が玉座に座り、威厳ある声で言った。
「ルミナスブレイブよ。見事であった。鉱山都市を救い、我が領地に平和をもたらした功績、まことに大きい」
ナオは思わず背筋を伸ばし、震え気味の声で返す。
「は、はいっ! あ、ありがと……ございます!」
「アタシら、やるときはやるっしょ!」ミナが胸を張ると、後ろでレナが小さくため息をつく。
「……静かにして」
ヒカルは一歩前に進み、報告を始めた。
「陛下。廃教会には“禁忌の魔術師”を名乗る者がいました。名はカイ。
奴が召喚したモンスターを倒しましたが、本人は姿を消しました。まだ危険かと――」
だが王は手を振って遮った。
「ふむ……逃げたのであろう? ならば、もはや問題あるまい」
(……軽いな)
ヒカルの胸にわだかまりが残る。しかし王は満足げに笑い、言葉を続けた。
「ルミナスブレイブ。汝らを本日より、三大ギルドに並ぶ『四大ギルド』の一角とする」
謁見の間にざわめきが走る。
「し、四大ギルド……!?」ナオが目を丸くする。
「ちょ、ちょっと待って。あたしらが?」ミナが思わず声を裏返した。
「……悪くない響きね」レナは僅かに口元をほころばせる。
「やったな! これで俺たちも王国直下だ!」ソウタは拳を掲げた。
「栄誉なことです。ありがとうございます、陛下」ユウキが丁寧に頭を下げる。
王はさらに告げた。
「ギルドハウスとして大きな屋敷を下賜しよう」
だがヒカルは首を横に振った。
「今の場所が、俺たちには居心地がいいんです」
「……ただし」レナが続ける。「礼拝堂を新しく建てていただけると助かるわ」
「うむ、それくらいならば容易い。手配しておこう」
◆老執事の課題
謁見の後、王の側近である老執事が静かに歩み寄った。
白髪を後ろで束ねた老齢の紳士は、低く落ち着いた声で告げる。
「次なる課題を授けます。――ダンジョンキングオーダー、ソロオーダー編」
「ソロオーダー……?」ナオが首を傾げる。
「その名の通り、一人でダンジョンに挑み、クリアタイムを競うもの。
前回は三大ギルドの精鋭が上位百位を独占いたしました」
「つまり、個人の力を測られる試練……ですね」ユウキが静かに呟く。
老執事は微笑み、ヒカルたちを順に見回した。
「四大ギルドに名を連ねたからには、恥じぬ結果を期待しております」
◆ヒカルの決断
宿へ戻った後、皆で集まって話し合う。
皆が意気込むなか、ヒカルは黙っていた。
心の奥では――
(ソロなら俺が一位を取れる。けど、それじゃ意味がない。大事なのは、みんなの底上げだ)
前世での経験を胸に秘め、答えを出す。
「俺は……ソロには出ない」
「えっ!? ヒカルが?」
ナオが大きな声をあげる。
「きっとなんとかなる、のヒカルが? 珍しいじゃん」
ミナが驚いたように笑う。
ヒカルは静かに仲間を見渡し、言葉を続けた。
「俺がやるより、みんながそれぞれ強くなるほうがいい。ソロは個の力を磨ける舞台だ。今の俺に必要なのは、みんなの成長を待つことだと思う」
「……なるほど。ヒカルらしいわね」
レナが肩をすくめる。
「僕も納得です。つまり、僕たちが成長して、次のオーダーで一位を狙うんですね?」
ユウキがうなずく。
「ああ。そのために今は、それぞれが挑戦する時だ」
ヒカルは力強く告げた。
ヒカルは、胸の奥に押し込める。
前世で叶わなかった“パーティでの頂点”。
その夢を、今度こそ仲間とともに掴むために――。
やがてユウキが静かに頷く。
「……わかりました。僕は挑戦します」
「私もやるよ!」ナオが勢いよく手を挙げる。
しかしミナは腕を組んで首を振った。
「アタシはパス。ソロオーダーで拘束士って、映えないし。
それより、デビルズの拘束士の動きを見て盗むつもり」
「……デビルズの?」レナが目を細める。
「昔の知り合いがいるの。私が付き添うわ」
「じゃあ俺は古巣のトラベラントに顔出してくる。応援スキルの幅を広げたいしな!」ソウタが笑顔で宣言する。
ヒカルは仲間たちを見渡し、強く頷いた。
「よし、それぞれの道で強くなろう。そして――次のパーティオーダーで一位を掴む」
その言葉に、全員の心が燃え上がった。
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