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追放された雑魚剣士、実は最強ゲーム覇者でした。~記憶を取り戻した俺はチート知識で世界をぶっ壊す~  作者: 中瀬
第二章 悪魔討伐編

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第185話 夜の草原

異空間の空は、夜を迎えていた。

青く光る草が月明かりのように大地を照らし、

二人の影を静かに浮かび上がらせている。


リディアは安全地帯の縁に腰を下ろし、

疲れた様子で靴を脱ぎ、足を投げ出した。


「……今日のあんた、やっぱりすごかった」


クロエは少し離れた場所で、まだ手を胸の前に重ねていた。

指先には、さっきまで残っていた“光の温もり”がかすかに残っている。


「……でも、翼は出なかった」


「出かけたじゃない。

 あんなの、普通の人なら一生できないよ」


「……一瞬だけ、何かが見えたの。

 でも、自分の背中のものなのに、よく分からなかった。

 光が広がって……それから、消えた」


クロエは胸の前に手を当て、

小さく息を吸い、そして吐いた。


その動作に合わせて、ほんの少しだけ、

黄金の粒が空気の中で瞬いた。


リディアはその光を見つめながら、

ふっと小さく笑う。


「やっぱり、“心の制御”なんだね。

 おじいちゃんが言ってた通り。

 強い想いも、優しい気持ちも、ぜんぶ“力”のかたちになる」


クロエは目を伏せたまま言う。

「でも、心って……思ったより、難しいね。

 焦ると、すぐに壊れそうになる。

 あの光も……わたしの心が、揺れたから消えた気がする」


「うん、わかるよ」

リディアは、夜風に髪を揺らしながら言った。

「わたしも、強くなろうって思うとき、いつも焦る。

 でもね――焦りは力にならないの」


クロエは静かにリディアの方を向いた。

「リディアちゃんって、ほんとに強いね」


「強くないよ。

 ……でも、“守りたい人”がいるときだけ、強くなれる」


そう言って、リディアは小さく笑う。

クロエもつられて笑った。


「じゃあ、わたしも“守りたい人”を見つけないと」


「見つけなくても、もういるんじゃない?」


クロエは少し驚いたように顔を上げる。

リディアは冗談めかしてウインクした。


「ヒカルたちでしょ。

 あんた、誰かが傷ついたら、すぐ飛び出すじゃない」


「……あ、あれは、条件反射っていうか……」


「はいはい、言い訳禁止」


二人は同時に笑った。

風が草を揺らし、青い光が波のように広がる。


リディアはふと、空を見上げてつぶやいた。


「でもさ……いつか本当に、あの翼が“生まれる”ときが来たら、

 その時、あんたは……どこまで飛んでいくんだろうね」


クロエは少し考え、そして小さく答えた。


「……それでも、ちゃんと戻ってくるよ。

 だって、帰る場所は――ここにあるから」


リディアは笑い、そっとクロエの肩に寄りかかった。

夜風が優しく吹き抜け、

遠くで聖樹の光がゆらりと瞬いた。


 


――“心が整えば、力は翼になる”。


それは、まだ遠い未来の話。

けれど、二人の夜空には確かに、

黄金の光がひとすじ、流れ星のように残っていた。

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