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追放された雑魚剣士、実は最強ゲーム覇者でした。~記憶を取り戻した俺はチート知識で世界をぶっ壊す~  作者: 中瀬
第二章 悪魔討伐編

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第184話 黄金の翼

陽光が差し込む異空間の草原。

青空と風の音だけが響く。

クロエは静かに目を閉じ、胸の前で手を組んだ。


「……もう一度いくね」


リディアは少し離れた場所で頷く。

「焦らなくていい。力は“引き出す”んじゃなくて、“呼吸を合わせる”の」


クロエは深呼吸を一つ。

胸の奥で、黄金の粒が淡く明滅していた。


「光よ……もう一度、わたしに応えて」


空気がわずかに震えた。

草の穂先がざわりと揺れ、周囲に柔らかな光の輪が広がる。


オーブのような輝きが、クロエの胸に浮かび上がる。

それはまるで、呼吸と一緒に脈打っているようだった。


「いい感じ……そのまま、崩さないで……」

リディアの声は低く、集中を乱さぬように慎重だった。


クロエの表情は真剣そのもの。

汗がこめかみを伝う。


「もう少し……もう少しで……!」


光が強くなる。

その輝きは確かに“形”になりかけていた。


――風が走る。

――光が裂ける。


その瞬間、クロエの背後に“何か”が見えた。

淡く、黄金色にきらめく羽根のような光。

揺らめく陽炎の中で、それは確かに――翼の形を取ろうとしていた。


 


「……クロエ……それ……」


リディアの声が震えた。

息を呑んだまま、彼女は言葉を失う。


一瞬だけだが、確かに見えた。

黄金の光が、クロエの背からゆるやかに伸び――

風に溶けるように消えていった。


 


「おじいちゃんが言ってた……“心の制御ができた時、力は形を持つ”って……

 まさか、ほんとにやっちゃうなんて……」


リディアの瞳が揺れる。

信じられないものを見たという顔だった。


クロエは肩で息をしながら、かすかに笑う。

「でも……形にはならなかった。まだ、途中で……消えちゃった」


リディアは彼女のそばに膝をついた。

「ううん、違う。今のは“形になりかけた”んだよ。

 あと少しで、本物の翼になってた」


クロエは拳を握る。

「“あと少し”……か」


「うん。だから、焦らないで。

 クロエにとって翼の具現化が、力を最大に出せる状態なんだと思う」


風が頬を撫でた。

クロエはゆっくり立ち上がり、空を見上げる。


「……次は、ちゃんと出せるようにしたいな」


リディアは微笑み、空に手をかざした。

「うん。その時は、わたしがちゃんと見届ける」


 


空は変わらず青く、遠くで聖樹が輝いていた。

その光はまるで、

まだ芽吹かない“黄金の翼”を、静かに見守っているようだった。


――力は、あと少しで“かたち”になる。

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