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追放された雑魚剣士、実は最強ゲーム覇者でした。~記憶を取り戻した俺はチート知識で世界をぶっ壊す~  作者: 中瀬
第二章 悪魔討伐編

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第171話 廃教会の地下

薄曇りの空の下、ヒカルとエルナリアは古びた石造りの教会に到着した。

 森の外れ、王都からも遠く離れた場所――「紅い月の会」が拠点にしていると噂される廃教会だ。


 扉は半ば朽ち、赤黒い苔が壁を這っていた。

 中に足を踏み入れると、冷気が肌を刺す。

 十字架は倒れ、礼拝堂には誰の気配もない。


「……誰もいませんね。」

 エルナリアが警戒しながら呟く。

 その声がわずかに反響して、寂しく響いた。


 ヒカルは剣を抜かずに、慎重に周囲を見渡す。

 「気配ゼロか。……だが、臭うな。血と、魔力の残滓が。」


 床の割れ目から、微かに風が吹き上がってくる。

 まるで地下へと続く空洞があるようだった。


「地下……そういえば、教会の下で活動しているという噂を聞いたことがあります。」

 エルナリアが思い出したように言う。


 ヒカルはうなずいた。

「やっぱりか。だが今は不用意に突っ込むべきじゃない。

 一度、体制を整えてから、再度ここを調べよう。」


 エルナリアも同意し、二人は教会の外へと足を向けた。


 ――だが、その様子を、少し離れた丘の上から見つめている者がいた。


 小さな声が風に紛れて、ぽつりと漏れる。

「ふふん……パパ、脇が甘いわね!」


 それはクロエだった。


 ヒカルたちに気づかれぬよう、結界の陰から覗き込みながら、頬を膨らませていた。

 彼女の脳裏には、昨夜の夢の光景が蘇っていた。


 ――“ヒカルの言う通りに行動しなさい。それが、世界を救う道です”――


 夢の中で出会ったあの存在。

 創造神リュミナ。いや、“リュミナちゃん”と呼んだほうがしっくりくる可愛らしい女神。


 クロエは拳を握りしめた。

「でもね、リュミナちゃん……。

 パパとママが死んじゃう未来なんて、私は絶対にイヤ。

 だから、クロエがぜーんぶ解決しちゃうの!」


 小さく宣言して、クロエは胸を張った。


 ヒカルとエルナリアは周囲を一通り確認したあと、

 「今日は一旦戻ろう」と話し合い、廃教会を後にした。


 その背を見送ったクロエは、いざ一人で乗り込もうとしたが――

 教会の中から漂う“何か”の気配に、足を止めた。


 空気が淀み、暗闇の奥から視線のようなものを感じたのだ。

「……ひぃ、やっぱり、今日はやめておこう……」


 小さく身を震わせ、クロエはそっと宿舎へと引き返した。


 夜。

 窓の外に月が昇る頃、ベッドの上でクロエは膝を抱え、思考を巡らせていた。


「ひとりで忍び込むにしても、今のうちに自分の力を整理しておかないと……」


 彼女は指を折りながら、頭の中でリストを作っていく。


 ――クロエの黄金の力――


 ① 何かを創造する

 ② 人の行動を操る

 ③ バリアを張る

 ④ 対象の魔力を抜く

 ⑤ 対象をハムスターに変える


「……ふふっ、でも、もうひとつ増えたんだよね。」

 クロエはいたずらっぽく笑った。


 そう、“人の心”を操る力。


 ヒカルとエルナリアのあとをこっそりつけていくとき、

 シドに見つかりそうになった。

 その瞬間、クロエは軽く手をかざしたのだ。


 ――饅頭が、目の前に転がる幻を。


 それを見たシドは、まるで魅了されたように饅頭へ一直線。

 いつもより三倍は長く、饅頭を凝視していた。


「うまくいった……あれ、精神干渉だよね?」


 セリーナが使っていたという“精神干渉”を思い出し、

 クロエは無意識に真似していたらしい。

 結果、見事にシドの目をごまかして抜け出すことができたのだった。


 クロエは指で空中に光の文字を描く。


 ――まとめ――


 ① 何かを創造する

 ② 人の心と行動を操る

 ③ バリアを張る

 ④ 対象の魔力を抜く

 ⑤ 対象をハムスターに変える


「うん、完璧!」


 満足げにうなずいたあと、クロエは布団の中にもぐりこんだ。

 「でも、やっぱり一人で考えてるだけじゃ心配だし……」


 そう呟きながら、頭に浮かんだのは、

 誰よりも知識豊富で、冷静な友――リディアの顔だった。


「明日、リディアに相談してみようっと。」


 小さく笑って、クロエは目を閉じた。

 黄金の光がふわりと枕元に揺れ、夜の静寂に溶けていった。

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