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追放された雑魚剣士、実は最強ゲーム覇者でした。~記憶を取り戻した俺はチート知識で世界をぶっ壊す~  作者: 中瀬
第二章 悪魔討伐編

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第166話 決戦!セリーナ

聖樹の根の奥――大地が鳴動し、黒い魔力が渦を巻く。

 セリーナの前で、エリナが両手を組み、祈りの言葉を口にしていた。

 その瞳は焦点を失い、まるで誰かに操られているかのようだった。


「シド! エリナが……セリーナの精神干渉を受けている!なんとかできないか!?」

 ヒカルの声が鋭く響く。

「このままじゃ、セリーナが強化される!」

 その瞳に怒りと焦りが交錯する。

「いや、それだけじゃない……クロエの力まで利用するつもりだ! なんておぞましい奴なんだ……!」


「ヒカル! 落ち着くのじゃ!」

 シドが杖を地に突き立て、声を張った。

「慌ててはセリーナの思うツボじゃ。しかし……どうやってエリナの精神干渉を解けばよいのか……」


「――私がやってみる!」


 その声に、二人は振り返った。

 そこに立っていたのは、黄金の光をまとう少女――クロエだった。


「クロエ!? ここにきてはダメだ!」

 ヒカルが慌てて叫ぶ。

「危ない! お前まで精神干渉を受けたら――」


「そうじゃ、クロエ! 今はまだ――」

 シドも止めようとするが、クロエは静かに首を振った。


「……行かなきゃ。だって、エリナは私の友達だから」


 クロエが一歩、聖樹の根の中心へと踏み出した瞬間、セリーナが愉悦に満ちた笑みを浮かべた。


「ふふ……なんてこと。自ら来てくれるなんて!」

 漆黒の魔力が彼女の体から溢れ出す。

「今夜、私の欲しいものがすべて手に入る……! リーサルなんてもういらない! これからは――私の世界よ!」

 笑い声が木霊する。

「ふふふふふふふふ……!」


 その直後、セリーナが手を伸ばした。

 クロエの意識に、鋭い闇が突き刺さる――精神干渉。


 しかし――


「……効かない、の?」


 セリーナの笑顔が一瞬で凍りつく。

 クロエの瞳が黄金に光り、彼女をまっすぐ見据えた。

「ごめんね。でも、あなたの“心”を、少しだけ静かにして」


 その言葉とともに、セリーナの身体がピタリと動きを止めた。

 時間そのものが、わずかに“止まった”ようだった。


「なんと……!?」

 シドが驚愕に目を見開く。


 クロエは振り向き、息を切らせながら言った。

「ごめん……たぶん長くはもたない……。いまがチャンス、逃げて」


「クロエ、お前……何を――」

 ヒカルの声が震える。


 クロエは微笑んだ。

「……あとは、私がやってみる!」


「やってみるって……お前、どうする気だ……」

 ヒカルの胸がざわついた。

 彼女を見つめるたびに、理由もなく胸が熱くなる。

 守らなきゃいけないという、本能のような衝動。

 ――それもそのはず。

 彼女は、ヒカルの“娘”だった。

 しかし、ヒカルは、その真実を知らない。


 クロエは両手をセリーナに向けた。

「……ふんっ!!」


 瞬間、黄金の光が爆ぜる。

 セリーナの身体から、おびただしい量の黒い霧が噴き出し、空中に消えていく。


 シドが口をぽかんと開けたまま呟いた。

「な……なんじゃ、この力は……」


 クロエが息をつきながら言う。

「いま、抜いた!」


「なにを!?」

 ヒカルが問う。


「セリーナの魔力。全部。無力化しといた」

 クロエはそう言って、少し考えるように首を傾げた。

「……うん、最後にちょっと、おまけしてもいいよね」


 彼女は軽く手を打った。


「ハムスターになれ!」


 ポンッという軽快な音。

 次の瞬間、セリーナの姿は淡い光に包まれ――小さな茶色いハムスターに変わった。

 そのまま“すやすや”と眠り始める。


「えええええええええええええええええええええええ!?」

 シドは絶叫した。


 悪魔ランク2位のセリーナをハムスターに…

 今までの戦いは何じゃったのじゃ…

 シドは思考停止した。


 クロエはふらふらとよろけ、「力、使いすぎちゃった……」と呟くと、ヒカルの腕の中に倒れ込んだ。


「クロエ!」

 ヒカルは彼女を抱きとめる。

 その顔は安らかで、微笑んでいた。


* * *


 そこへ、バレンたちが駆け込んできた。

 リディアも肩で息をしている。


「ヒカル! セリーナはいなかったの?」

 リディアが尋ねる。


「いや、ここにいる」

 ヒカルが床を指差す。


「ん?」

 リディアの視線の先――そこには、ヒカルの手の中で眠る小さなハムスターがいた。


「……うそでしょ?」


 ヒカルは苦笑いを浮かべる。

「ほんとだ。……たぶん、これが“セリーナ”だ」


 リディアは言葉を失い、シドは天を仰いでいた。


「それよりも、エリナを頼む」

 バレンがうなずき、まだ意識の戻らないエリナをおぶう。


「一旦、脅威は去った。どこかで休もう」


 こうして一行は、ラルドの案内でエルフの森の奥へと戻り――

 長き戦いの幕を、一度ゆっくりと下ろしたのだった。

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