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追放された雑魚剣士、実は最強ゲーム覇者でした。~記憶を取り戻した俺はチート知識で世界をぶっ壊す~  作者: 中瀬
第二章 悪魔討伐編

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第156話 グラス王国保安局 特別捜査官セリーナ

「囲めっ! 逃がすな!」


 怒号が夜の街に響いた。

 保安局兵たちが次々と路地に流れ込み、鋼鉄の靴音が石畳を叩く。

 光る魔導灯が一斉に掲げられ、闇の中にヒカルたちの影が浮かび上がった。


 「ヒカル、どうする!?」

 シドが叫ぶ。


 「無闇に斬るな! 相手は人間だ!」

 ヒカルが即答する。


 「だが、このままでは――」

 バレンが低く唸り、腰の双剣を構える。


 「……最小限に止める」

 その言葉とともに、彼は一瞬で前へ。

 踏み込みと同時に剣が閃き、迫りくる兵士の槍を絡め取るように弾いた。

 鈍い金属音が連続し、二人の兵士が倒れる。


 「相変わらず速い……」

 チャイが感心しつつ、袖を払った。

 その手元から放たれたのは、小さな煙玉。

 白煙が一気に広がり、視界が真っ白に染まる。


 「いまだ、右よ!」

 ナオの声が響く。


 次の瞬間、風の刃がすれ違うように走り抜け、

 兵士たちの足元をすくう。

 「うわっ!?」

 体勢を崩した兵士たちが倒れこみ、通路が一瞬開いた。


 「今だ、抜けろ!」

 ヒカルが叫び、前へ走る。


 だが――。


 「そこまでだ」


 静かな女の声が夜を裂いた。


 群衆の向こう、崩れ落ちた兵士たちの間から、ひとりの影が歩み出る。

 月光を受けた銀髪が揺れ、冷たい緑の瞳が光る。

 セリーナ。


 彼女はゆっくりと歩きながら、指先を軽く上げた。

 すると、倒れていた兵士たちの身体がひとり、またひとりと立ち上がっていく。


 「なっ……!」

 チャイの瞳が見開かれる。

 兵士たちの目が淡く白く光り、まるで意志のない人形のように動き始めた。


 「……操っている?」

 ナオが小声で呟く。


 「そう。心を少しだけ“借りて”いるの」

 セリーナの声は穏やかだった。

 だが、その瞳の奥には冷たい光が宿っていた。

 「反逆者に理屈はいらない。ただ従えばいい」


 「人の意思を奪って……そんなの、正義か!」

 ヒカルが叫ぶ。


 「正義?」

 セリーナは小さく微笑んだ。

 「“秩序”よ。あなたたちが壊した世界を、私が整えるの」


 その瞬間、兵士たちが一斉に動き出した。

 剣が月光を反射し、光の雨のように迫る。


 「下がれ!」

 ヒカルが前に出て、剣を抜く。

 銀光が火花を散らし、兵士の攻撃を次々に受け流していく。

 ナオが詠唱し、風の壁を展開。

 チャイが印を結び、地面に術符を走らせた。


 「“封陣・煙籠えんろう”!」


 煙の渦が巻き起こり、兵士たちの動きを一瞬止める。

 その隙にシドが杖を突き立て、地面を叩いた。


 「“地脈反転”!」


 石畳が浮き上がり、兵士の足元を崩す。

 だが、セリーナはまったく動じない。


 「面白い。でも、甘いわ」


 そう言って彼女が指を鳴らした瞬間、

 ヒカルの視界が歪んだ。


 ――何だ、これ……!


 目の前の街並みが、溶けるように形を変えていく。

 仲間たちの姿も揺らぎ、遠くなる。

 代わりに、耳の奥に女の声が響いた。


 『あなたは、何を守るの? “ヒカル”――』


 ヒカルは一瞬、意識を失いかけた。

 けれど、そのとき、バレンの低い声が現実に引き戻した。


 「ヒカル! 見るな、幻だ!」


 鋭い衝撃音。

 バレンが地面を蹴り、ヒカルの肩を掴んで後方に引き戻す。

 幻が破れ、再び現実の街並みが戻ってきた。


 「……まさか、精神干渉までできるとはな」

 バレンが低く唸る。


 セリーナはゆっくりと口角を上げた。

 「逃げ場はないわ。降伏して」


 「悪いけど、俺たち――」

 ヒカルが剣を構え直す。

 「まだ、“真実”を聞いてないんだ!君はデザート王国で対戦した悪魔なのか?」


 次の瞬間、火花が散り、夜の街に再び剣戟の音が響き渡った。


 月が雲に隠れる。

 戦いの行方は、まだ誰にも見えなかった。

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