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追放された雑魚剣士、実は最強ゲーム覇者でした。~記憶を取り戻した俺はチート知識で世界をぶっ壊す~  作者: 中瀬
第二章 悪魔討伐編

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第147話 進歩

訓練が終わるころ、空は茜色から群青へと変わりはじめていた。

 砂漠の端の小高い丘の上。

 チームのみんなは、焚き火を囲んで腰を下ろしていた。


 「ふぃ~……今日も疲れたぁ~!」

 クロエがばたんと仰向けに倒れる。

 「ヒカルさん、あのあと本当にごめんなさいね……あんなにきれいに当たるなんて思わなくて……」

 「“きれいに”って言うな。俺は的か」

 「いや~でも、あの音、すごかったね! “ボゴッ!”って!」

 「チャイ、楽しそうに言うな。俺まだ痛いんだから」


 ナオはくすっと笑い、手を差し出した。

 「はい、湿布。魔法のやつ」

 「助かる……」

 ヒカルは素直に受け取り、肩に貼る。


 「それにしても、クロエちゃんの枝すごかったよ~。ちゃんと木の香りしてたもん!」

 「でしょ! あれ、ちゃんと“樫の木”をイメージしてたの!」

 「……えらい。次は俺の頭じゃなくて敵を狙おうな」

 「うぅ……わざとじゃないもん……」

 クロエはぷくっと頬を膨らませ、ナオの膝に頭を乗せる。

 ナオは苦笑しながら髪をなでた。

 「頑張ってたものね。明日はもう少し精度が上がると思うよ」

 「うん……ナオお姉ちゃんに褒められると、元気出る~」


 焚き火がぱちぱちと弾ける。

 その明かりの向こうで、リディアがバレンの隣に座っていた。


 「ねぇバレン、今日の私、結構すごくなかった? 風、ちゃんと吹いたでしょ!」

 「……ああ。驚いた。まさかあそこまで感じ取れるとは思わなかった」

 「でしょでしょ? もうこれは弟子卒業じゃない?」

 「いや、始まったばかりだ」

 「えぇ~、もうちょっと褒めてくれてもいいじゃない!」

 「……褒めるなら、あの“砂像”を作らなかった前提で、だな」

 「うっ……そこは、芸術点で見てよ……」

 ヒカルが遠くからぼそっと呟く。

 「砂像って……しかもキスする仕草だったよな……」

 ナオが口元を押さえて笑う。

 「リディアちゃんらしいね」

 「ふふ、芸術は情熱なのよ!」


 「情熱が方向を誤ると砂が飛ぶ」とバレン。

 「その通りでございます」とヒカルが同意する。


 チャイがくすくす笑いながら、マシュマロを焚き火に突き刺す。

 「ねぇねぇ、バレンさんもやる? マシュマロ焼き!」

 「……いや、私は」

 「ほら~固いこと言わないの~」

 チャイが強引に串を手渡す。

 しばらく見つめたあと、バレンは静かに火にかざした。


 リディアがその様子を見て、目を輝かせる。

 「きゃー! マシュマロを焼くバレン様……なんか絵になる!」

 「……どのあたりがだ」

 「全部!」

 「……そうか」


 ヒカルは肩をすくめた。

 「すげぇな、バレンさん。静かにしててもモテるっていう才能あるわ」

 「学びたいか?」

 「いや、やっぱ遠慮しときます」

 ナオとクロエが吹き出した。


 やがて、焼き上がったマシュマロが配られた。

 「ふわふわ~! 甘い~!」とチャイが頬を緩ませる。

 「なんか……こういうの、久しぶりだね」ナオがぽつりと呟く。

 「戦うばっかりじゃなくて、こうして笑ってられるの、いいな」

 クロエがうんうんと頷く。

 「うん、わたし、明日もがんばる!」

 「おう、明日は俺を殴らない方向でな」ヒカルがすかさず返す。

 「が、がんばる!」


 そのやり取りに、リディアが笑いながら頬杖をつく。

 「ねぇ、なんだかんだで良いチームだよね、私たち」

 バレンは小さく頷いた。

 「……確かに。悪くない空気だ」

 「バレンがそう言うって、けっこう貴重よね!」

 「そうかもしれんな」


 空を見上げると、星々が砂の上で瞬いていた。

 風が一筋、みんなの間を通り抜ける。


 ヒカルがその風を感じながら、静かに言った。

 「……明日はもっと強くなろう。誰も欠けないように」


 「うん!」

 クロエとナオ、チャイが同時に頷き、

 リディアがバレンの腕をつつく。

 「バレンもでしょ?」

 「もちろんだ」


 焚き火が、ぱち、と音を立てて火の粉を舞い上げる。

 笑い声が、夜空に溶けていった。

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