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追放された雑魚剣士、実は最強ゲーム覇者でした。~記憶を取り戻した俺はチート知識で世界をぶっ壊す~  作者: 中瀬
第二章 悪魔討伐編

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第144話 修行

翌朝、デザート王国の空は、雲ひとつない青だった。

 祝宴の夜の余韻がまだ残るなか、クロエが両手を腰に当てて叫んだ。


 「よしっ、修行するっ!」


 その勢いに、チャイがパンをくわえたまま飛び跳ねた。

 「やるやるー! 修行だー!」


 ヒカルとナオは顔を見合わせ、思わずため息をつく。

 「……また始まったな」

 「はい。でも、たしかに今のうちに鍛えておくのは悪くありません」


 そう、彼らも分かっていた。

 これからの戦いでは、自分たちの身は自分たちで守れた方がいい。

 そして――支援や連携ができれば、なおよし、である。


 クロエの能力開発を見守るのは、ヒカルとナオ、そしてシドとチャイ。

 一方で、リディアはというと……。


 「旦那様、ちょっと付き合ってください。」

 「旦那になった覚えはない...」

 「“秘密の特訓”よ」

 「……なんかイヤな予感しかしない…」


 結局、バレンはリディアに腕を引かれて連れ出されていった。

 彼女の目が“訓練”というより“デート”のそれだったのは、言うまでもない。


 一方、砂丘の端。

 クロエたちは円を組んで立っていた。

 その中心で、シドが杖をトントンと叩く。


 「さて――クロエ。そなたの“黄金の光”じゃが、どうも遺伝子の覚醒が進んでおるようじゃ」

 「げ、げんし……?」

 「簡単に言えば、“力の花”が咲きかけておる、ということじゃな」

 シドは長いひげを撫で、得意げにうなずいた。


 「そろそろ、実際に能力を使う練習をしても良いころ合いじゃろう」

 「……本当に?」クロエが不安そうに見上げる。

 「もちろんじゃ! では、集中するのじゃ、クロエ。いつでも体に黄金のオーラをまとえるように――どうじゃ? できるか?」


 クロエはこくりとうなずき、目を閉じた。

 砂の上に静寂が広がる。


 ――すると。


 彼女の全身から、ふわりと黄金の光が立ちのぼった。

 肌が透けて見えるほど、輝きが強くなっていく。


 「す、すげぇ……!」ヒカルが思わず声を上げた。

 「まるで、太陽そのものだね……」ナオも息を呑む。


 光はやがて消え、クロエは少し息を切らして目を開けた。

 「できた……! 今の、ちゃんと出たよね!?」

 「うむ、見事じゃ!」シドが大きくうなずく。


 「で、この力……何ができるんですか?」ヒカルが尋ねた。

 シドは腕を組んで、「ふむ……」と考え込む。

 「それが――分からんのじゃ」


 「分からんのかいっ!」

 ヒカルのツッコミに、ナオが小さく吹き出す。


 「だが、今までのクロエの発言や行動、経験を総合するに、三つの可能性がある」

 シドは杖を掲げ、指を三本立てた。


 「一つ、イメージしたものを出現させる力。

 二つ、相手を意のままに操る力。

 三つ、シールドを張る力――」


 「めっちゃすごいじゃんそれ!?」ナオが素で叫ぶ。

 「じゃが、どれだけ意図的に使えるかは、まったくの未知数じゃ」


 クロエは腕を組んで考え込む。

 「うーん……やろうやろうと思ってもできないんだよねー。ふっと、できるときはできるけど……」


 「なら、試してみよう」ヒカルが言った。

 「まず、木の枝を右手に出現させて、それをチャイに渡す。

 次に、チャイをコントロールして、自分を叩かせる。

 最後に、それを防ぐためにシールドを張る――これで一通り試せるな」


 「おもしろそー!!」チャイの目がキラキラと輝く。


 「わかった! やってみる!」クロエが拳を握る。


 クロエは右手を見つめ、深く息を吸った。

 「出ろ……木の枝!」


 すると――右手が輝き、まばゆい光の粒が集まる。


 「で、でた!?」

 次の瞬間、クロエの手の中には、しっかりした木の枝が一本握られていた。


 「おおおっ! 本当に出たのじゃ!」シドが跳びはねる。

 「すごい……本物みたい……」ナオが枝を見つめる。


 クロエはそれをチャイに渡した。

 「じゃあ、次はチャイを……コントロール?」


 彼女は手を伸ばし、チャイに意識を向ける。

 「チャイ、木の枝で、わたしを――」


 「うわぁぁ! なんかクロエちゃんから変な感じするー! でも動かないよー!」

 「うーん、やっぱり、だめかぁ……」

 クロエは額に汗を浮かべたまま、膝をついた。


 「よくやった。じゃ、最後にシールドを――」

 「……うう、もう疲れたぁ……」

 「だよな」ヒカルは笑いながら、彼女の頭を軽く撫でた。


 この日の成果は、“木の枝を出現させることができた”という一点。

 それだけでも十分にすごい。


 ヒカルは空を見上げながら思った。

 ――敵の心臓や頭の中に石を出現させられたら、それだけで致命傷だ。

 そんな力、もはや魔法の域を超えている。


 「こんなチート能力……俺だって聞いたことねぇぞ……」


 だが、今はまだ始まりにすぎない。

 クロエの中に眠る“黄金の力”が、どんな未来を導くのか――

 それを知るのは、もう少し先のことだった。


 「……もう帰りたい~……」

 クロエの小さな声に、ヒカルは笑ってうなずいた。


 こうして、初日の修行は終了した。

 夕陽が砂丘を照らし、彼らの影を長く伸ばしていく。


 次なる戦いに備えて、彼らの物語はまた一歩、進み始めたのだった。

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