第138話 いざ魔の門の中へ
砂漠の夜が終わり、白んだ空に朝日が差し込む。
宿舎の屋上から見える王宮は赤く染まり、砂の都全体が薄金色の光に包まれていた。
ヒカルは剣の柄を握りしめ、大きく息を吸う。
「……行くか」
その一言に、仲間たちが次々と立ち上がる。
出発前の会話
「今日が本番だね」ナオが微笑むが、その瞳は鋭く光っていた。
「気を抜くな。あのセリーナ相手に一瞬の隙が命取りになる」バレンが仲間を見回し、落ち着いた声で告げる。
「わかってるよ。でも、今回は勝つ」ヒカルはきっぱりと言い切った。
「ふん、若いのう。……じゃが頼もしい」シドは長い髭を撫で、にやりと笑う。
子供たちも荷物を背負って準備を整えていた。
「わたしたち、ほんとに行っていいの?」クロエが不安げに尋ねる。
「戦いの中心は俺たち大人が担う。お前たちは無理するな」バレンは真剣な目で釘を刺した。
「……はい」クロエは少し俯きながらも、小さく頷いた。
王宮から地下への道
一行は王宮に立ち寄り、王に簡潔な挨拶を済ませた。王は険しい表情で頷き、兵士たちに門の警備を固めるよう命じる。
やがて、王宮地下へと続く階段を降りる。
ひんやりとした空気の中、壁に刻まれた古い魔法陣が淡く光り、地下深くへ誘っていた。
「……ここだな」バレンが低く呟いた先に、巨大な石の扉がそびえていた。
扉の隙間からは黒い靄が漏れ、空気が震える。
「魔の門……」ヒカルはその不気味な存在感に、無意識に剣を構えた。
「ここを開けば、奴らの本拠地に通じておるはずじゃ」シドが真剣な顔で言う。
「……行くぞ」
バレンが一歩前に出て、手を石扉に当てる。
龍気が奔り、重々しい音を立てて扉が開かれていく。
その先から吹きつける瘴気は、まさに異界の気配――。
「……覚悟はできてるな?」ヒカルが仲間を振り返る。
「もちろん」ナオが微笑み、
「当然だ」バレンが静かに頷く。
「わしは最後まで見届けるぞ」シドが杖を握り直す。
クロエ、チャイ、リディアもそれぞれ表情を引き締めた。
そして、一行はついに「魔の門」の内側へと足を踏み入れた。
決戦の幕が、いま開こうとしていた――。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
良ければブックマークと評価をお願いします。励みになります。




