第135話 王への報告
-----王宮 謁見の間-----
王宮の重厚な扉が開かれ、ヒカルたちは急ぎ足で玉座の間に入った。
既に衛兵たちが慌ただしく走り回り、空気は張り詰めている。
「戻ったか! 何があった!?」
玉座の上で立ち上がった王の声は、震えを含んでいた。
ヒカルが前に出る。
「……王よ。セリーナは悪魔でした。そして、王宮地下で“魔の門”を開こうとしていた。私たちが妨害しましたが……完全には止められませんでした」
「な、何だと……!? セリーナが……悪魔……」
王は愕然とし、玉座にすがりつくように腰を下ろす。
側近たちがざわめき、衛兵長が剣の柄に手を置いた。
「陛下、すぐに地下を封鎖すべきです!」
「いや、すでに奴は逃げた……下手に追撃すれば門を刺激するだけじゃ」シドが首を振る。
ナオがきっぱりと言う。
「それよりも、王宮全体で警戒体制を敷いてください。黒衣の集団は城内にも潜伏しています」
「……わかった」王は大きく息を吐き、顔を上げた。
「諸君、城内の結界を二重にせよ! 各区画に兵を配置し、出入りを厳しく管理せよ!」
「はっ!」
兵士たちが一斉に動き出す。
やがて、王はヒカルたちに向き直った。
「……私は愚かだった。セリーナを迎え入れたのは私だ。今まで彼女に助けられたと信じて……その恩義から、王宮に置いてしまった。あの女が……悪魔だとは……」
バレンが低くつぶやいた。
「おそらく、最初から計画の一部だったのだろう。王宮に潜入し、信頼を得て、儀式の場を整えるために」
「……すまぬ」王の声はかすれ、拳を握りしめる。
「だが今は悔いている暇はないな」
シドが地図を広げ、魔の門の位置を指し示す。
「奴は一度退いた。だが、門はまだ完全に閉じてはおらぬ。いずれ戻り、儀式を再開しようとするじゃろう」
ナオが鋭い目で言い放つ。
「……それまでに、こちらも準備を整えないと。王国全体を巻き込む大戦になるかもしれない」
ヒカルは剣を握り直し、皆を見回した。
「もう迷ってる時間はない。俺たちは……必ずセリーナを止める」
その言葉に、リディアもクロエもチャイも強く頷いた。
小国とはいえ、デザート王国全土を揺るがす戦いになる。
ヒカルは悪魔との戦いがついに始まったのだと確信する。
必ず、ワールドを守ってみせる。そう強く思うのだった。
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