第133話 魔の門
王宮地下 ― 魔の門への道
王宮の奥深く、重厚な鉄扉の前で一行は足を止めた。
扉の表面には古代文字が刻まれており、禍々しい魔力が漏れ出している。
「……ここが地下遺跡への入口か」バレンが低くつぶやく。
シドが杖を掲げ、呪文を唱えると、古代文字が淡く輝きだした。
「封印は形だけじゃな。すでに一度は解かれておる」
ナオが肩をすくめた。
「つまり、セリーナ……いや、悪魔はここを自由に出入りしてたってことね」
ヒカルが剣の柄に手をかける。
「油断はできない。進もう」
ギィィ……と鉄扉が開き、一行は冷たい空気の中へと足を踏み入れた。
地下回廊
そこは広大な石造りの回廊だった。
壁には黒い水晶が埋め込まれ、不気味な光を放っている。
クロエが怯えた声をあげる。
「……ここ、すごく嫌な感じがする」
「無理もない。魔界とこの世界を繋ぐ“匂い”が漂っておる」シドが厳しい顔で言った。
「普通の人間なら、立っているだけで正気を削られるじゃろう」
バレンは無言で周囲を警戒しながら進む。
石床には円環状の魔法陣がいくつも刻まれており、その中心へ続く道が一本伸びていた。
魔の門
やがて一行は巨大な広間へと辿り着いた。
そこに鎮座していたのは――高さ数十メートルの黒い石造りの門。
門の表面には無数の目のような紋様が刻まれ、じっとこちらを見ているかのようだった。
門の奥は闇そのもので、光を吸い込む深淵が口を開けている。
ナオが息をのむ。
「これが……魔の門……」
シドが険しい声で告げた。
「大陸の古記録にも記されておる。太古の悪魔たちが侵攻した際、異界への通路として造ったと……。まさか、王宮の地下に眠っておったとはな」
バレンが冷静に観察する。
「完全には開いていない。だが……門はすでに活性化している」
セリーナの影
その時、クロエが小さく叫んだ。
「みんな、あそこ!」
広間の奥――。
黒衣の集団が、門の前で儀式を行っていた。
中央に立つのは、セリーナの姿。だがその背からは黒い翼が覗き、すでに人の形を完全に捨てつつあった。
ヒカルが剣を抜く。
「……やっぱり、セリーナが黒幕か!」
シドが制止するように杖をかざした。
「待て! 今はまだ手を出すな。奴らの儀式を見極めるのじゃ」
ナオが眉をひそめる。
「でも、このままじゃ門が開いちゃう!」
セリーナの声が響いた。
「……人間どもよ、ようやく気づいたか。だが遅い。この門は開く。大地は再び悪魔のものとなるのだ」
不気味な笑い声と共に、門の奥から冷たい風が吹き出した。
一行は思わず身構える。




