第124話 悪魔討伐パーティ結成
朝の光が差し込む食堂で、ヒカルとナオはパンとスープを前にしていた。
「遅いな……シドさんたち」ヒカルがぼそりと呟く。
「昨日の夜、買い物に出かけたきりだものね。心配になるわ」ナオも眉をひそめる。
そこへ、ようやくシドとクロエが姿を現した。クロエは少し眠そうだが、どこか誇らしげな顔をしている。
「待たせたの」シドが杖を軽く突きながら言った。
「実はの、昨晩は少々妙なことがあってな。偶然、クロエの兄に出会ったのじゃ」
「えっ、兄?」とヒカルとナオが同時に声を上げる。
「うむ。わしにクロエを託していった。理由は……深くは語らなんだが、今はわしが保護するしかあるまい」
「そんな偶然が……?」ナオが首を傾げた。
「でも、シドさんが嘘をつくはずないか」ヒカルは真剣な表情で頷く。
「危ないときは必ず隠れる。これは約束じゃ」
「うん!」クロエは元気よく返事をする。
そこへ、チャイが胸を張って言った。
「わたしがクロエを守る! ドラゴンだもん!」
その言葉に、ヒカルとナオの緊張した表情も少し和らぐ。
かくして、シドの強力もあり、クロエは無事、両親の近くで旅を続けることができるようになったのであった。
◆待ち合わせ場所
石畳の広場に、ひときわ目立つ人物が現れた。長身の男――バレン。その背には堂々たる風格が漂っている。
その横にぴたりと寄り添い、胸を張って宣言する少女がいた。
「妻です!」
一同があっけにとられる。
「……弟子だ。妻ではない」バレンが冷静に否定した。
紫の髪が揺れる。リディアだった。
「えぇー、そこ否定する!? わたし、妻のつもりなんだけど!」
そんなやり取りに割って入るように、クロエがぱっと指を差した。
「あっ、クマちゃんの財布の子!」
リディアの顔が真っ赤に染まる。
「なっ……あなた、ぶっ殺すわよ!」
クロエはきょとんと首を傾げるだけで、ヒカルとナオは苦笑。バレンは完全に無視していた。
(かっこいい……)クロエはうっとりとバレンを見つめる。
その視線を邪魔するように、リディアがさっと立ちふさがった。
「だ、ダメよ! バレン様はわたしの……!」
シドが咳払いをして紹介を始める。
「そやつがバレン。……ドラゴンなんじゃ。チャイと同じでの」
「なっ……!」リディアの表情が凍り付いた。
心の中で嵐が吹き荒れる。(バレン様と同じドラゴン種族!? そんな……! で、でも……まだ幼子。妻の座はこのわたしのもの……!)
余裕を装った笑みを浮かべながらも、額には一筋の汗が流れていた。
「チャイというのか。よろしくな」バレンが穏やかに声をかける。
「はい! よろしくお願いします!」チャイは満面の笑みで答えた。
シドが杖を軽く突きながら言う。
「詳しい話はおいおいするが、ドラゴンは“龍術”を使える。悪魔を討伐するうえで、役に立つはずじゃ」
「……龍術」ヒカルとナオが目を見張る。
バレンは静かに頷き、仲間たちを見渡した。
「では、早速出発としよう」
こうして、一行の新たな旅が始まった――。
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