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追放された雑魚剣士、実は最強ゲーム覇者でした。~記憶を取り戻した俺はチート知識で世界をぶっ壊す~  作者: 中瀬
第二章 悪魔討伐編

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第116話 タイムリープ失敗!?

 魔導円が悲鳴をあげるように軋んだ。

 膨れあがる光の奔流が暴発し、時間の扉は不安定に揺れた。


「――駄目だっ、流れが崩れていく!」

シドの声が遠く聞こえた瞬間、ユウキは歯を食いしばり、クロエの手を強く握った。


「クロエだけでも……!」


 時間の奔流に呑まれながらも、彼の眼差しは揺るがなかった。クロエを守ることだけを選び取る。

 だが次の瞬間、クロエの視界の中でユウキの姿が淡く溶けはじめた。


「ユ、ユウキたん!? いやだよっ、一緒に行くって……!」


 必死に掴んだ手は、光の粒子となって指の間から零れ落ちていく。

 最後に、ユウキの微笑みだけが残った。


 そして、声も消えて、クロエの視界は白に包まれた。



 気がつけば、石畳の道に立っていた。

 乾いた風が頬を撫で、遠くから商人の呼び声が聞こえる。見知らぬ街並み。塔の姿も、ギルドもない。


「ここ……どこ……?」


 胸がざわつく。ユウキの安否が真っ先に浮かぶ。

「ユウキたん……無事だよね……?」


 思い出すのは作戦会議のこと。

 シドとユウキ、そして仲間たちと、何度も何度も話し合って決めたはずだった。入念に準備し、失敗などあり得ないと信じていた。だが――現実は裏切る。


 ワールドで伝説と称された二人。シドとユウキ。

 そのどちらも関わった術式が、破綻した。想像すらしていなかった事態。


「……私が……軽率だったんだ」


 姉たちの必死の制止を思い出し、涙が溢れる。

 けれど、クロエはすぐに首を振った。


 ――自分で決めたこと。

 だから、後悔ではなく、前へ。


「行かなきゃ……」


 震える膝に力を込め、一歩を踏み出そうとしたとき。


「大丈夫?」


 不意に背後から声がした。

 クロエは弾かれたように振り返り、その瞬間、息を呑んだ。


 そこにいたのは――優しい眼差しを持つ少女。

 けれど、その顔立ちに見覚えがあった。


「……ま、まさか……」


 少女は自分と同じ年頃。十八歳ほどの姿。

 だが確かに、その面影は忘れようがない。


 ――母、ナオ。六年前、悪魔との戦いで自分を庇い、消滅したはずの人。


 現実感が遠のく。胸の鼓動が暴れ出す。

 さらに、その隣には――。


「どうしたんだ?」


 低く落ち着いた声。振り向いたのは、若き日の父ヒカルだった。


 クロエは言葉を失った。

 時空の果てで繋がったのは、決して会うはずのない、両親の若き日の姿だった。



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