第105話 ランド祭フィナーレ
ダンジョンキングオーダーワールド編が終わったその夜。
街全体が興奮と歓喜に包まれていた。
石畳の通りは、提灯の明かりに照らされ、そこかしこで笑い声と歌声が響く。酔っ払った人々が路上で肩を組み、空には花火が絶え間なく咲き誇り、散っていく。誰もがこのワールドを愛し、ひとつになって盛り上がっているのがわかる夜だった。
その中心にあったのは、もちろん「ルミナスブレイブ」。彼らはランド祭の顔として、誰もが名を口にし、誇らしげに語る存在となっていた。
戦いが終わった直後、ユウキを休ませようと仲間たちは気を配った。しかし彼は、レナにとっておきの回復魔法をかけてもらっただけで首を横に振り、子どものようにダダをこねる。
「せっかくの祭りの夜ですよ! 皆さんと一緒に楽しみたいんです!」
天才で、大人びた雰囲気をまとうユウキ。だが、その本質はまだ十代の少年だ。結局、最後はナオがおんぶしてやることになり、背中でぐっすり眠る彼の寝顔は、どこまでも無邪気だった。
一方そのころ、ソウタはギルドマスターとして王と並び、優勝の会見に出席していた。朗らかな笑顔で語る彼の言葉には、揺るぎない信頼が滲む。ギルドの門前には、新たに仲間入りを希望する冒険者が長蛇の列を作り、まさに今、ルミナスブレイブの未来は大きく羽ばたこうとしていた。
王は壇上で高らかに宣言する。
「もはや君たちはランドの守護神では収まらぬ。ワールドの守護神だ!」
その言葉に、シーブルー王国、マウントグリーン王国の王も賛同を示し、広場は割れるような歓声に包まれた。
ミナのもとには、母アリスをはじめ、伝説のギルド〈ヒストリー〉の面々が駆けつけていた。仲間たちはミナの働きを誇らしげに讃え、ショーンもまた微笑む。そこに、ユウキを背負ったナオが現れ、ショーンは眠るユウキの顔を見ながら呟いた。
「もうすぐ師匠を超えそうだな……」
その声にアリスも頷く。そう、ショーンもまた、かつてシドの教え子であったのだ。
その場に、舞と咲の姉妹――白姫と黒姫が姿を見せる。二人はナオに深々と礼を述べた。
「ナオさんの天使の光に導かれて、戻って来られました……」と咲が告げると、ナオは首を振り、穏やかな笑みを浮かべる。
「咲さん自身の力ですよ。あなたの強さが、あなたをここに連れ戻したんです」
その言葉に、咲は涙をにじませて笑った。
さらに、母アリスと語らっていたミナの元に、デビルズの拘束士シバが現れた。
「まさかアリスさんを超えちまうなんてな……差をつけられたぜ」
ミナはにやりと笑い、アリスと肩を並べて言う。
「シバらしくないじゃん! もちろん、すぐに追い越すんでしょ?」
シバもまた、笑顔で「ああ」と頷いた。
会見を終えたソウタ、ヒカル、そしてレナの前には、〈トラベラント〉のダインが現れる。
「お前さんたちには驚かされてばかりだ。もう驚かん! なんてな、はははは!」
その快活な笑いに、ヒカルたちも思わず笑みを返す。ソウタは謙虚に答えた。
「僕たちは、まだオーダーをひとつ制しただけです。トラベラントに負けないギルドにしていきますよ!」
その言葉は本心からであり、気持ちの良い真摯さがあった。ダインもまた、彼の姿勢を認め、笑い声を重ねた。
やがてルミナスブレイブの仲間が全員揃うと、近くの店が用意してくれていたテラス席に通された。そこにはすでにチャイ、チャラン、ポランの三人が待っており、みんなで記念写真を撮ることになった。
食卓の上には山ほどの料理が並び、ナオは早速、口いっぱいにご馳走を頬張る。その姿に、レナが「あらまぁ」と微笑み、ユウキは背中で「やれやれ」と呟く。ミナは母と並んで満面の笑顔でピースをし、ソウタは仲間たちを背から支えるように優しい笑みを浮かべる。ヒカルもその隣で、心からの笑顔を見せていた。
――ランド祭の最終日。
その夜の笑顔と花火は、彼らにとって生涯忘れられない思い出となった。
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