表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/8

解剖と花占い

 深夜、王都外れの廃工房。レオンの肩の手当てをしながら、私はヤロスの肝臓サンプルを解剖台に広げた。視聴者八万、サイエンスタグでトレンド一位。


 顕微鏡投影で見えた結晶構造は〈灰竜の舌〉のアルカロイドと似て非なるもの。私は即席反応試剤を調合し滴下――青から深紅へ変色。「これは合成毒〈レッドラグナ〉。天然より百倍強力」


 レオンが低く唸る。「王都全土に撒けば王家も滅ぶな」


 私は懸念を配信で共有し、視聴者アンケート機能で協力者を募る。薬師、冒険者、市民が続々と情報提供を申し出る様は“群衆捜査”そのもの。


 夜明け、チャットに匿名リーク《錬金ギルドの地下に〈白蛇教〉の祈祷室》の座標が投稿される。私は花占いのように陽だまり花の花弁を一枚ずつちぎり、行くか退くかをポプラに託す。スライムが花弁を飲み込み輝く金色――“行け”のサイン。


 準備を整えた私たちは、辺境薬草園と王都地下を結ぶ古い鉱山トンネルを突き止め、潜入計画を開始する。


 チャットに大量の《投げ銭付き応援》が降り注ぐ中、レオンはカメラを調整し呟いた。「ライブ史上最高の“ざまぁ”にしてやろうぜ」


 私は手袋を締めながら微笑む。「この解剖はまだ序章よ。王都の心臓を開き、腐った毒を掬い上げるまで止まらない」


 画面の向こうで真っ赤に変わるポプラ。次回予告──“地下聖堂レイド”が始まる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ