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薬草園、開園

王都を離れ三日目。渓谷の奥、かつての薬草園〈エメラルドの庭〉は荒れ果て、蔦が温室の骨組みを呑み込んでいた。だが私は胸を高鳴らせる。ここが真実の研究拠点になる――視聴者三万の“開墾ライブ”を開始!


 まずは土壌調査。ポプラを畝に這わせ色変化で pH を測定、酸性過多と判明した箇所へ灰竜木の灰を撒く。チャット欄が《役に立つ!》と投げ銭で沸く。


 レオンは古い温室のガラスを片付け、私が作ったハーブ・スモークで害虫を一掃。陽当たりの良い中央区画に〈陽だまり花〉の苗を定植すると、スマホの向こうで同時接続四万を突破した。


 正午、近隣領民の少年アルトが現れた。「王都の官吏が来て、ここは差押え物件だって……」と震える。背後に現れた黒装束の錬金ギルド兵が、私たちへ退去命令を突き付ける。


 配信を続けながら私は平然と署名書を受け取り成分分析。「インクに〈灰竜の舌〉微粒子が混じってるわね。ここで書かせて不法所持の証拠を作るつもり?」


 動揺する兵士。私はポプラをインク瓶に浸し黒変させ、カメラをアップで映す。「毒物混入文書は無効。辺境伯の土地権を譲渡する公証済み契約はここにある」――昨日レオンが取得していた正当権利証を提示。


 兵士は撤退し、配信は歓喜のスーパーチャットで溢れる。夕暮れ、私たちは焚き火を囲み初の定時配信“薬草 Q&A”を開始した。視聴者の一人が投げた「王都で死人が出たらしい」情報が次の事件の幕を開ける――。



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