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第4話

 私はすぐに警備状況を調べだしそのデータからルートの候補をいくつか決めると起動していたすべてのソフトを落とした。

「教えてもらえるの?彼のこと」

「ああ、アイツの傍にいるなら知っておいてほしいんだ」

 そして、如月さんは話し始めた。



 俺が水樹と最初に出会ったのは研修生の時だった。俺はバックアップ要員として、水樹は戦闘員として同じグループに配属された。

 その頃から俺は情報支援、水樹は戦闘でトップレベルでの成績をだしていた。

 それから小さな任務や前線基地へ行ったりした。そこでも俺たちは前から配置されている兵以上に活躍してきた。

そして……2年前。水樹にヨーロッパ部隊への異動が決まった。


「つまり……あの抵抗戦への参加」

「俺たちはヨーロッパ戦線って言ってたな。あそこは戦場じゃなくて地獄だって話でな。水樹の異動が決まった時は俺たちはその前の晩に思いっきり飲み明かしたぐらいだ」

 私のつぶやきに答えた如月さんは話を戻す。


 俺にも同じように異動命令が出た。それから数か月の間。俺はある基地を拠点に連絡網の中心として活動していた。水樹とは暇を見つけては通信で話をしていた。

何時の頃かわからないが気づいた時には水樹は別の部隊へ異動になっていた。

 俺ですら掴めない水樹の異動に嫌な予感がしていたが途中でそれどころではなくなったこともあって俺は水樹と一切の連絡を取れなくなっていた。

 そして……あの決戦が起きた。

 知ってはいるだろけど一か月に及ぶ作戦。日本の部隊では天一号作戦と呼ばれている作戦だ。

 あれは戦争なんてものじゃない。前線も何もなくなった。どこかに綻びがあればそこを突き、なだれ込む。

 情報支援のために現地に行った俺ですら銃を握った。だが戦力制限を無視した抵抗組織の戦力は数で上回るツィオーネに匹敵し作戦も何もない混戦状態になった。

 俺が生き残れたのは後方にいたことと多くの戦闘員の犠牲のおかげだ。本来なら非戦闘員の俺を必死に守ってくれたからだ。


「結果としては俺たちの勝利になったが結局、抵抗組織の主なった奴らは全員戦死。そしてツィオーネも疲弊しきっていたのだから勝ち負けなんてないのだろうな」

「あれ?でも広野がどうなっていたのかについてはそんなに触れてないけど……あなたが話したいことって……」

「それは……これからなんだ。何があったのかは詳しくは知らないが……一番知っておいてほしいのはこれじゃない。この後なんだ」

「この後ってことは戦争の後ってことよね。いったい何があったの?」

 少しだけ、如月さんは少しだけ黙って告げた。

「精神がダメになっちまったんだよ。あいつは」

「……!」


 日本に帰ってきたとき、俺はようやく水樹の居場所が分かった。それは軍直属の病院の一室だった。

 俺はすぐにその病院を訪れた。そこにいたのは安定剤を打たなければ眠ることもできない状態の水樹だった。

 安定剤が切れればすぐに発狂し、発狂しなくても自分の腕をみると皮膚がボロボロになるまで水で洗おうとする。わずかな物音にも敏感になり安定剤の量も日ごとに増えていった。

 水樹の看病にも付き合っていたがその一方で俺はあいつに何があったのか調べた。その中で相良さんと知り合ってそこから俺はすべてを知ったんだ。


「……」

「これは俺も聞いた話だから間違ってることもあるかもしれない。そして俺は真相を水樹に聞くことがまでできていない。だが、大きな流れはあっているはずだ。それでもいいか?」

「ええ、不思議なところがあれば広野に聞くだけだから」

 私ははっきりと言う。如月さんがその言葉に驚いていたけど納得したような顔をすると話を続けてくれた。


 俺と連絡が途絶えたのは水樹の配属先が特別特攻隊ってところに変わったのが理由だった。

 その隊は名前の通り攻撃部隊の最先端に立ち行動する部隊だ。もともと水樹は特装隊にだったこともあってすぐにパイルバンカーの扱いにも慣れたらしい。

 特攻隊で水樹はバンカーを使っての壁などの破壊を行っていたんだ。天一号作戦ないで何度もバンカーを撃ち多くの壁を壊し破片で中にいた人を埋め、動けないところにとどめをさす。毎日がそれの繰り返し……普通の精神状態でいられる方がおかしい話だ。

 そして終結間近、特攻隊にも撤退命令が出たのだが最早逃げるのは不可能だったらしい。それぐらいあの部隊は敵陣に切り込んでいたんだ。

 相良さんを筆頭に指揮官3人は撤退できた。それも戦闘員全員が攻撃に出てその隙に下がるだけしか逃がす方法はなかったらしい。その最後の特攻をきっかけに他の部隊も攻勢に出て戦争は終わった……

 その時、最後に特攻隊から連絡を受けた場所のすぐ近くに一人の生存者がいた。血と破片で動かなくなったバンカーを地面に突き立て、それに背を預けて立っていた。

 体を覆っていた防具はボロボロになり全身は血にまみれ握られている刀からは血が滴り落ちていた。

 唯一の生き残り。それが水樹だった。


「そんなことが……」

「半年以上かけてあいつは治った。だが、今のように安定してからまだ一年も経ってない。あの手袋もその名残だ」

「…………」

 私は黙ってパソコンに向かった。絶対、二人で逃げ切る。その決意を胸にもう一度ルートの洗い直しを私ははじめた。


ども、カイトです


やや更新遅れ気味かも。地味に大学生活きちぃ……

とりあえず日々努力です


さて、第2部も4話。そろそろ2部で書きたいことに差し掛かった感があります

ちょい問題があって時間が取れないのでなかなか文章の見直しとかできてない……書いたらそのまま上げておしまい……って状況です

なんか全部見直したら赤面しながら文章直しそうです


更新頻度が落ちると思いますがどうにか連載は続けていきます

第3部書き終えて、その後の作品にもこの二人は絡ませていきたいと思っているぐらいですので


では、また次回


ここまで読んでくださった皆さんに感謝を

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