その約束は有効ですか?
「レモーネ様、なにかの間違いではないでしょうか?」
「いや本気だよ。君は婚約者の僕のアドバイスを蔑ろにして太ったままだし、自分が語学が堪能だと自慢ばかり、それに」
「ッッ!そうではなくて、婚約の話です。
私は父から婚約の話を受けておりませんし、レモーネ様のお父様からも伺っていません。どこからそのようなお話が出たのでしょうか?」
「『幼い時に、子爵から仲の良い君ならオリーブを任せられる。頼むよ。』と言われたのだ。父にも話してある。」
「それは書面に残っているのでしょうか?」
「幼い頃なのだ、あるわけないだろう。
君はいつだってそうだ、証書、証明が明らかかばかり気にして友人の話もきかない。学園の時に君の家に融資を頼んだ学友にも同じ事を言っていたな。君も君の家族も富があるのに人助けもしない傲慢さがあるからハイエナなどと呼ばれるのだ。」
学園にいるときは影では豚やハイエナと蔑みながら、融資や援助の話を持ってくる方が沢山いました。こちらの利になるならと、事業計画や援助の使い道の予算書などを見せてほしいと頼むと7割はうやむやになり、2割は杜撰なためお断りをしていました。一部は私から父に上げて成功を収めた例もありますが、片手に収まる数です。
また、兄が卒業してからレモーネ様には明らかに避けられてきました。目も合わせないため、距離をとっていましたが、皆様の前で家族まで悪し様に言われるなんて。幼い頃の幸せな思い出と今の悲しみ怒りで心は悲鳴を上げ、身体はガタガタと震えます。スッと頭が冷えると私はどうやらそこで気を失ってしまった様です。
一回全消ししてしまいました。