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群がる黒の宝石とは!?

作者: 墨彩銃像

 これはある知人から聞いた話である。


 知人のことは今からAという略称で呼ぶ。


 Aはとある地方の出身である。実家の周りは木や草花が生い茂るほどの田舎のようである。


 Aの実家の近くには、緑が生い茂る低い山がある。その山は他の山と見た目が一見したら変わりはない。


 しかし、その山の頂上付近近くの山肌には、一つの洞窟がある。


 その洞窟の近くに来ると、何やら寒気を感じるようである。しかもAは腕を見ると、鳥肌が立っていたという。


 あの洞窟には何かがある。そう思ったAは祖父にあの洞窟のことを聞いたようだ。


 すると、その祖父はこう答えたという。


 「あの洞窟の中には、黒光する宝石と金色に輝く宝石があると‥‥‥」


 Aはその話を聞いて興味をもったようだがその祖父に洞窟の中に入るのはよせと止められたようである。


 なんでも、その宝石を手に入れようと中に入ったものはけたたましい悲鳴をあげながらずっと悩まされるというのだ。


 その話を聞いたAは結局その洞窟の中に入らなかったようだ。


 Aからその話を聞いた伊藤青磁こと俺は恐怖するどころか逆に好奇心を抱き、実家のある場所を教えてもらった。


 そして、現在、Aの実家の近くにある例の山に来た。


 現在の時間帯は朝7時である。


 山は低いが緑で生い茂っている見た目通り、草木があちこちで生えていた。


 「一見すればのどかな山なのにな」


 俺はこののどかな山にあるAから聞いた不気味な洞窟に向かって山の中に入っていった。


 山の中は道はあるものの草木でおおわれており、地面が全く見えないほどであった。


 俺は、獣道と言っても過言ではない道を進んでいく。もちろん生えている草は持っている鎌で刈りながら進んでいった。


 整備されていない獣道を進んでいくため、山の中間あたりにくるのに2時間ほどかかってしまった。


 低い山なのにこれほど時間をかけてしまったよ‥‥‥と下山する時間帯を心配していた。


 また、多量に汗をかきながら、はあはあと息を吐いていた。服には草や花がこびりついておりこの山を登るのがいかに大変かを物語っていたのである。


 俺はそんな風な状態になりながらさらに山の中を進んでいった。


 山の中間より上の方はふもとの所よりも草木が生い茂っていて進むのがやっとである。


 ただ、鳥があちこちにいて、鳥の鳴き声を聞きながら進むと一瞬だけだが少し癒された。


 そうしながら、進んでいくき2時間かけて山の頂上についたのである。


 そのため現在は11時であった。


 そして今回の目的であるAから聞いた洞窟にたどりついたのである。


 その洞窟を近くから見るとAの言う通り何やら寒気がしてきた。


 AやAの祖父の言う通りこの洞窟の中にはなにかがあると感じるほどの寒気である。


 「一体この中になにがいるんだ‥‥‥!?」


 俺は不安に思いながらも洞窟の中に入っていった。


 中は薄暗かったので、持ってきた懐中電灯の明かりを頼りに進んでいったのである。


 明かりをかざしたから分かったが中は天井や床など周りは岩肌であった。


 俺はそんな岩肌の洞窟の中の中間あたりまで進むと、少し先のほうでごそごそとうごめくものが見えた。


 「なんだあれは‥‥‥!?」


 不思議そうに明かりを照らしながら見つめると、その先にはなんと‥‥‥黒く光るものが見えたのである。


 「おお~! Aの祖父の言う通り、黒く光っているぞ。本当に宝石かもしれん。しかもいたる所で光ってやがる!!」


 俺はもしかしたら宝石かもと喜んでいた。実際に近くでそれを見るまでは‥‥‥。



 俺はその黒光りするものに近づいて、触ろうとした。しかし触った時に何やら気味の悪いやわらかい感触があったのだ。


 これは‥‥‥宝石じゃない!? 明かりを照らしながらよーく見てみるとそれは‥‥‥触覚を生やし家の中でもうごめくもの‥‥‥ゴキブリだった。


 「な‥‥‥なんでゴキブリなんだよ!?」


 ゴキブリだと気づくと俺はものすごく驚愕した。それと同時に全身がかゆくなっていたのである。


 俺は黒光りするものはゴキブリだと知り、早くこの洞窟から出ようとした。


 しかし、そう思った時にはすでに全身にゴキブリが埋めつくしていたのである。


 やがて俺の身体はゴキブリに囲まれてしまっていた。


「うごお~~気持ちわり~~!!」


 俺は絶叫していた。


 だがゴキブリはそんな俺などお構いなくどんどん集まってきていたのである。


 くそ‥‥‥どうすればいい!? 


 俺は少しの間このゴキブリたちをどうするか切迫しながら考えた。


 そして一つの解決策を導き出したのである。


「そうだ‥‥‥バッグの中にあるライターをつけよう」


 俺はなんとか腕を動かしながら、担いでいるバッグを地面に落とした。


 落とすとゴキブリが去っていく‥‥‥。


 俺はその隙にバッグの中に入っていたライターを取り出して火をつけた。


 そのライターの火をかざすと、ゴキブリは火を怖がり去っていこうとした。


 俺はゴキブリが去った瞬間に洞窟を出ようとした。するとその瞬間先の方になにやら金色に光るものが見えた。


 それはなんと‥‥‥金色に輝くゴキブリだったのだ。


 結局どっちもゴキブリかよ!! 俺はここまで来て探したものがゴキブリであったことにショックを受けたのである。


 しかし、そんな悠長にふけっている暇などなかった‥‥‥! 俺はすぐさまゴキブリがはびこる洞窟から出ていったのである。


 洞窟から出ると日光がとてもまぶしかった。それはゴキブリも同じだったのか俺の身体からさらに離れていったのである。


 だが、離れないものもいたのでそれはライターを近づけて離れさせた。


 こうして俺は、無事洞窟から抜け出したのだ。


 しかし、こんなゴキブリがはびこる洞窟の中には二度と入りたくないと思った。


 そういやな思いをしながら俺は3時間かけて山を下りていったのであった。


 洞窟のなかでくたくただったのにさらにくたくたになったよ。


 もうこんな探索はもうこりごりだ。

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