第九話
あー、なんかちょっとすっきりしたな
もっと、気楽に考えていいのかな?
モトラおじさんの事も、お父さんと同じ様に頼ってもいいのかな?
きっと……いいんだよね?
前世の記憶のせいで、大人の人にはどうしても怖いイメージがあるからなぁ
でも、お父さんもモトラおじさんも私の事を愛してくれている……愛されているのが伝わってくる……ありがとう……
よっし!
決めた!
――
「ミラーさんおはよう、今日でペア決め締め切りですね……」
ト、トモス……なんだそのげっそりとした顔は……
しかも、急にさん付け。
……嫌われたわけじゃないよね? そういうことじゃないよね?
……
違うよね? なんか怖いんですけど。……でも、こうして声を掛けてくれてるわけだし、違うよね?
……
はぁー、ウジウジと情けない! 私は、もっとカッコいい女のはず! 声かけるわよ!
3.2.1
……
やっば! 恥ずかしい! 声かけれないんですけど……
他の女子達凄くない? なんで、あんなに普通に声掛けてんの?
もしかして、皆転生者? 二回目?
すぅーはぁー
すぅーはぁー
私はできる女、堂々と言えばいいだけ、いつもの調子、普段通り、
「友達だしいいわよ!」
「え?」
……
あぁあぁぁ、始めて一緒に帰ろうって誘ってきたトモスみたいな、いきなり意味不明なこと言ってしまったぁ
「友達だしいいわよ? ……ということは……つまり……旅行の時ペアになってくれるってことだよね?」
おぉ……なんというか、拡大解釈というか……プラス思考というか……
まぁいいか
「先生とは絶対に会いたいし、その時にファンじゃない人を連れて行くのは先生に失礼だし……だから、二人で行くのが礼儀よ。だから……だから、ペアになりましょう?」
くぅー、これが、限界……先生に、会うという理由を盾に誘うのが私の限界よ……
ビビリでごめんなさい……
「うんうん! そうだね! じゃあ、さっそく先生に報告してくる!」
「うん、よろ……」
おぉ……私の言葉を最後まで聞かないで、とっとと行ってしまった……
そんなに嬉しかったの?
……嬉しかったって事だよね?
――
「ぷぷぷ、おいみんな、席に、ぷぷ、つけ。もうすぐ締め切りの時間だぞ、ぷぷぷ……残念ながら四人ほどあぶれてしまったようだ……ぶふぉっ……しかも、その一人はトモス第二王子様に次ぐ人気を誇るニーキ君……いやぁー現実とは残酷だねーいくらイケメンでも選ばれないこともあるんですね? ここで一つ社会勉強できて良かったろ? 先生はそういう思いも知って欲しかったんだよ。うんうん」
マジでこいつはクソだな。あんな満面の笑みで社会勉強もくそもあるか!
でも、ニーキ君が残るのは確かに意外だったな。本当にトモスと人気を二分すると言ってもいい程の人気があったのに
「そして、the平凡のヘーボ君! 君は仕方ないよ! だって俺が大事に指名していたカラミちゃんを奪った男に似てthe平凡なんだもん! これは最早天罰と言っても過言ではないからね! 甘んじてこの罰を受け入れてください!」
仮にも教師が自身の生徒を平凡扱いして、完全な八つ当たりをかますとは……お前が天罰を受けるべきだろ
「そしてなんとなんと! 女子も二名残ってしまいました。圧倒的有利の女子が残るとは世知辛いですねーこんな美人が残るなんて……まあこの美人さん二人はカラミちゃんに似てるから天罰的な感じかな?」
……クズ
「だが、まあ心配すんな! お前らは四人組で寂しく……じゃなかった楽しく回ればいいじゃない? がっはっはっは」
ガラガラ
その時急に教室のドアが開けられた。そこには超絶美女にして超絶優秀なビジ先生が立っていた。ちなみにビジ先生は優秀過ぎて去年卒業したばかりなのに、当学園の二年の特進クラス担任を務めている。
「これはこれはビジ先生。急にどうしました? もしかして、こないだの食事の誘い……」
「ニーキ君! 私が嫌いか!」
えぇ! なにこの展開!
「そんなわけ……だけど、俺は生徒でビジはもう先生になって……」「関係ない! そんなの関係ないんだよ! 私が嫌いかと聞いている!」
「幼馴染のビジを嫌いなわけないだろ……ずっと大好きだ」
「うんそれでいい! ペアになるぞ! 先生、異論ございませんね?」
「え、えっと……」
「このクラス以外の女子でも本気でこのクラスの男子に好意を持っているなら声を掛けても良い。というルールですよね? どこにも問題ありませんよね? 異論ございませんよね?」
「……はい、異論ございません……」
ダサっ、世界最強の勇者様ダサ……
「ま、まあいいや……まあいいや、ヘーボ君と女子が残って……」
ガラガラ
またもや、突然ドアが開く。そこには、半端ないオーラを纏った謎の女性が立っていた。
ある程度予想はついたけどね……
「あれ? なんかどこかで会ったことありません? あ、ナンパとかじゃないですよ? 本気で」
「お久しぶりです。以前魔王が攻めてきた際窮地を救っていただいた、ブロ王国の第三王女キーレです」
「そうそう! 大きくなったら食事に行きましょうって誘いましたね! もしかしてその時の約束を……」
「ヘーボ殿! 私はずっとあなたが好きだった! あなたの家は我が国との取引を一手に引き受けてくれた。会えばいつも優しく……私を一人の女性として扱ってくれる……そんなヘーボ殿がずっと好きだった! 重臣がこの旅行の事を教えてくれ、私は全速力で学園に駆け付けて参った。私とペアになってくれないか?」
「……はい! 僕もずっとずっと好きでした!」
「ありがとう、ありがとう……勇者様。隣国ではありますが、(このクラス以外の女子でも本気でこのクラスの男子に好意を持っているなら声を掛けても良い)との事ですし、異論ございませんね?」
「……はい、異論ございません……」
あのバカ……めちゃくちゃ凹んでる、自分に天罰当たってるじゃん。
「……し、しかぁーし! 女子は死守した! 女子が声を掛けない以上もうペアになることはない! 即ちそれ、俺様の勝利!」
お前は何と戦ってるんだよ……
バタン!
「「間に合ったか?!」」
ぶふぉっ……最後の最後で男性二人登場。そして固まる勇者カッコ笑い
「「うん! 私とペアになって」」「「もちろん!」」
「……異論ございません」
ぶふぉっ、随分潔いな笑
「……この世には慈悲という言葉はないのか……」
お前に対してはないんだろうな。
だけど、見事に全員ペアになったなー。これ、結果だけ見たら勇者様カッコ笑はいい仕事したよね。
一応私もトモスペアになれたし……
少しだけ、ちょっとだけ、数ミリだけ感謝してもいいかもね……
なんて、思ったから、しつこすぎる程にドアが開け放たれた……
「……もう勘弁してくれ、俺のライフポイントはゼロだ……え? なんでここにいるの? ……カラミちゃん?」
えぇぇえ!? ここで、あの噂のカラミさんが登場? マジで?
え? まさかの異論ございません展開なの?
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微妙な遅れすみません
しっかり完結はするので最後までお付き合いお願いいたします。