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第七話



「お前ら卒業ちょっと前に、親の金使って親の拗ね齧って、世界を知るって名目で旅行にいくだろう?」



「……」



「通常なら男女別に四人位の組に分かれて行動したり、宿に泊まるんだが……今回はなんと! なぁーんと! 男女二人組で行ってもらいます!」



「は?」



 おいおい、こいつはマジで何を言ってんだよ? 旅行に……泊まりに行くのにそれを男女二人組でいく?


 それは流石に……



「せ、先生それはいくらなんでも……」



「まぁまぁ最後までちゃんと話を聞け。これはお前たちの為を思って言ってるんだぞ?」




 えぇ? あんな下種な笑顔をしてたのに私たちの為?



「このクラスって大多数が貴族だろ? んで、卒業したら大概の奴らが結婚したりするよな? 貴族社会ならそれが普通なんだろうし、お前らも家の為、領民の為だったりしてそれに対して不満があるわけではないんだろう。だけど、もしただただ好きな人と一緒になれるとしたらどうする? もちろん家にも領民にも迷惑が掛からない形でだ……」



「「「っ!」」



「今回の旅行でペアになり、結婚する場合に限って全て俺が(勇者)仲人を務める。もちろん王家公認だから王族の出席者も来るぞ? 多分他国の王族もくる。……まぁ要するに俺が後ろ盾につくって事だな。この意味が、利益のデカさがわからない奴はいないよな?」




 そ、そりゃいないだろう……


 こんな奴でも世界最強。しかも直近で世界を救っている。そんな先生が後ろ盾についてくれるなんてどんな利権より値打ちがある。



「しかも、その際結婚の話がなくなった相手側にもしっかり利権が来るように、王様や各国の王族に話を通してる。だから、後で相手側に文句を言われる事もないから安心していいぞ!」




 確かに、かなりの好条件だ。……なにか裏があるとしか思えない程に




「ただし! 声を掛けていいのは女子からのみだ! 男子から誘うのは絶対になしだ! いいなぁ!」




 ん? ん? それだけ? なんか思っていたより変な事じゃないわね



「ぷぷぷ、俺の計算だと、それなりの数が余り物になるはず。くっくっく……お前らも選ばれなかった者の苦悩を味わうがいい……女子も何人かは絶対振られるだろうからな……あー、くそっ……カラミちゃんあんなに指名したのになんで俺じゃなくて、あんな平凡な男を選んでお店辞めちゃうんだよ……見栄張ってご祝儀いっぱいあげちゃったし……」




 クソ教師、ちゃんと全部聞こえてるぞ……


 まぁそれでも、このクラスの人たちにとっては好条件であることに違いはない




 その後、他の条件も説明された。

 

 ・ペアになるのはこのクラスの男子じゃなくても良い


 ・このクラスの女子以外でも本気でこのクラスの男子に好意を持っているなら声を掛けて良い


 ・利権欲しさに適当な人をペアにするのは無効。先生に嘘は通じない


 

 まぁ、こんな感じの事を言っていた。後は問題が起きた際適当に処理するらしい。


 あの人らしい適当さ加減だ。



 というか、この話だと私やもう数人の平民組が一番お得だよな。いきなり貴族籍の人と、手土産(仲人)付きで結婚できるんだもん。



 ま、まぁ、……私には関係ないイベントだけどね



 私は、余った人たちと一括りにされる班で行けばいいや……



 それでいいや……



 

「んじゃ、明日の放課後までな! 解散!」




 瞬間、女子全員がトモスの下へ駆け込んだ




「トモス様!」「トモスくん!」「トモスさま!」



 そして、速攻でお断りされる女子達。だが、女子達は一言礼を言ってすぐに立ち去っていく。

 


 振られるのは前提で、一応声を掛けたのだろ。皆憧れはあるから嘘にはならない……





 その後、本当の本命の下へ走り出す女子群。




 まじで逞しいな貴族女子……




 その内クラスでもペアになる者が現れ始めた。



 ……私はというと、一歩も動かず呆然と他のクラスからも来るトモス行列を眺めていた……



 先生が全クラスに案内を出したのだろう……トモス目当てがすごい列を為している。



 それに、このクラスは特進だからか人気がある人も多い。トモス以外の男子目当てに来る人もかなりの数いる。



 これ、あの担任の予想が外れてほぼ全員ペアになっちゃうんじゃないの?




 あれ?……そしたら、私はどうすれば?


 



――




 モヤモヤと思考に耽っているとようやっと、トモス行列が終わり。トモスが帰り支度を始めていつものように私に挨拶に来てくれた。



「もちろん! 全部断ったよ!」



「ぶふぉ! な、なによ急に」



「……あ、あ、いや何でもない。ミラーさようなら……」



「ええ、さようなら。また明日ね」



「……」



「……あ、あのさ! 実は今度旅行に行く国ってさ、あの小説を書いている先生がいる国なんだよね」



 あの小説とは、私達がお互い好きで始めて一緒に帰った日買いに行ったもの




 ……私達の距離を縮めてくれたもの




「そうなの? それは知らなかったわ。偶然でも先生に会えたら嬉しいわね」




「う、うん。そう思ってさ、兄さんにツテがないか聞いてみたら、必ず会えます。って大量の手紙が編集者の人から来たんだよ」



「……う、うん」



「兄さん、ちょっと俺に甘いところがあるから、少し心配だったんだけど編集者さんが何度も会いましょう会いましょうって言ってくれるから、もう逆に会わないとあっちに迷惑が掛かりそうな気がしてさ……お言葉に甘えさせてもらおうかと思ってね……」



 これ、編集者さんの胃大丈夫かな? いや、それどころじゃないか……あの小説の出版社自体にかなりの圧力掛かってるわね。



 しかも、あのお兄さんの事だから作者さん自体には絶対プレッシャーを掛けないようにしているはず。




 自然体で会えないと可愛い弟が楽しめないからね……




 でも、私にとっても凄く魅力的な話だわ……




 どうしよう?




 だけど、ペアになりましょう?っていうの、告白するのとなんにも変わらないのよね……













「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひ感想、ブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

していただけると自分でもビックリするくらいモチベーションが上がります! 



ぜひよろしくお願いします!



次話水曜日です。


お願いいたします!


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