第三話
「ミラーおはよう!」
「えぇ、おはよう。今日も元気そうね?」
「うん!」
一緒に帰って小説の話をしてから、私達は当たり前のように朝の挨拶をし、当たり前のように会話するようになっていた。
若干嫉妬の視線が増えてきたけどね……「お情けでトモス様の友人になったくせに」的な話がチラホラと……
まぁ、私はそんなの全く気にしないけどね!
――
とりあえず、今日も無事に終わりそうね。後は最後に先生の話を聞いて解散。今日も一緒に帰ろうって言われるかしら? ……ま、まぁ私は……どっちでも……いいんだけど……一緒に帰った方が護衛しやすいだけだから……
……
「先生お前らに謝らなきゃならん、すまんな」
「どうされたんですか?」
すかさずトモスが先生に訪ねる。
「あのな……」
実は明後日の休み明けまでに、三年生は王都で働く人に話を聞き、レポートをまとめて提出する課題があったらしい。だけどこの担任はそれをすっかり忘れ今日思い出した……
「だから二人組を作って明日の休み中に仕上げてくれ、幸いこのクラスは特進の優秀なメンツばかりだ……先生はお前たちを信じている。頑張ってくれて! おっと、ブーイング等の非難は一切受け付けないからな!」
「「「「……」」」」
またしても、困ったことになった……私はこういう系の組を作るのは凄く苦手だ……もういっそのことそっちで全部決めてくれたらいいのに。と、前世で何度思った事か……
……だから、その失敗を活かし”孤立してたら逆に目立って護衛任務しにくくなるからしょうがなしに友達を作らないと!”と言う免罪符を手に友達を作ることに成功している! その数なんと! 三人! 前世で友達がゼロの私からしたら凄まじい快挙といえよう……色々なパターンに備えて三人と友達になったのだ……
しかし……しかしだ! その三人今日はなんとお休みを頂いております!
実は三人とも一応貴族で、共通の貴族の結婚式があるとか……
なんという間の悪さ……
……どうしよう
……皆どんどん二人組になっている
……どうしよう。どうしよう……前世の記憶がフラッシュバックして不安が襲ってきた……そんな小さな事で!って
思う人もいるだろうけど、一人残されるのは怖い……
怖い……不安……
どうし……
「み、ミ、ミラー、一緒に組まない?! 友達だしいいよね?!」
「……ええ、お願いしたいわ……」
自分でもびっくりするくらい不安な顔で、そして悲しい声で答えたものだから情緒不安定トモスから、イケメン王子様に即変身……
「……ミラー、俺はミラーの友達だからずっと一緒にいるよ。安心して……」
「……」
まったく……さっきの一言でどこまで察してくれちゃってるんだか……スペック高すぎ……
「よし! ちゃんと分かれたな? 後は頼んだぞ? マジでやって来いよ? 先生は明日大事な会議……じゃなかった、大事な賭場が開かれるから、手伝えないけど応援はしてるからな! お前たちの評価、じゃなかった俺の評価の為にも全力でやれよ! 解散!」
「「「「……」」」」
こんの……ボンクラ教師が……
こんなんでも、世界最強だってのが意味不明。突如現れた魔王すら瞬殺したらしいし……
だから、トモスの担任に選ばれたわけだけど……
「ミラー……明日の打ち合わせの為にもカフェでも行かない?」
「ええ、行きましょう」
……トモス、今日はあなたに救われたから私がおごるわ。
――
私たちはその後、お茶をしながら明日の打ち合わせをした。話し合った結果、冒険者ギルドに行こうという事になった。
実はトモスの父、モトラ様は若い頃やんちゃ坊主だった為冒険者に登録し活動していたのだ。その時たまたまメンバーになったのが私の父。もちろん次期国王だと知っていたが、そんなの関係なしに付き合ってくれた父にモトラ様は喜び、それ以来親友と呼べる仲になったと言う。
だから、トモスも行ってみたかったのだろう。
「じゃあ、明日ね! 女子寮の門まで迎えに行くから!」
「ええ、待ってるわ」
さてと、今日はモトラ様に報告に行く日……絶対にまたいじられるだろうけど、それも仕事の内……頑張りましょうかね?
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