やおい穴職人の朝は早い。
「先生ー!お客様ですー!」
呼ばれると私は今日も一日仕事を頑張らなければと気合を入れた。
「はいよー」
本日予約が入っていたお客様は2名。
仕事内容的に人に見られたくないというお客様が居るので日も昇るか昇らないうちから対応することが多い。
まぁ、この店がそういう店だと知っている人はそっちの知識もあるので気にしないでいいと思うのだが・・・。
「ロビン君だね。親の許可はもらえたのかい?」
「はい。約束通りサインをもらってきました。子供を作る機能が失われないのであればいいだろうと言われました」
そう。私の技能はやおい穴という物を開けるだけで患者の機能を損なわず維持するという点でお客様に大変好評である。
「希望していたコースの値段は500万ゼニーだが払えるのかい?」
「はい。私のパートナーに支援してもらって用意してきました」
500万ゼニーはなかなかの大金である。上級貴族や裕福な商人であれば簡単に出せる金額ではあるが、一般的には一年間の生活費全てでも少し足りない程度である。
「よろしい。では気持ちの整理が出来たらこの睡眠薬を飲んでとなりの部屋に来なさい」
そういって薬を渡したら即口に入れて飲み干した。
(どんだけやおい穴あけて欲しいんだ)
ベッドに寝かせると私の技能一覧から
『やおい穴作成』
を選択し、対象に適用した。
「うっ。ふぁぁぁああああああああああああっ」
適用されると客の中に自動的に作成され、その時の快感は寝てても感じられるほどらしい。
2時間後
「あ、おはようございます・・・。」
そういって立とうとすると足がふらついているようで支えてあげた。
「なんかふらふらします・・・」
「無事成功したが、今日の所ははゆっくり休みたまえ。迎えは来ているのかい?」
「はい。パートナーが来てくれます・・。」
そういうと入口に顔を向けた。
「カルロス!」
入り口には背の高い細マッチョ系な男が立っていた。
「おう。迎えに来たぞ!大丈夫だったか?」
「成功したって!でも体がふらふらするんだ。」
「そうなのか?なら俺が運んで行ってやるよ」
そういうとひょいっと抱え上げてこちらを向いた。
「先生ありがとうございました。こちらがお金になります。」
そうしてお金を渡してきた。
「はい。しっかりと。しばらく無理はさせないようにしてくださいね」
「あー。はい。頑張ります。では失礼しました。」
そういってお姫様抱っこをしながら二人は街へ消えていった。
(いや、あんなんどうせ朝でも目立つでしょ。どうせならゆっくり朝寝かせてくれよ・・・。)
今日のやおい穴職人の仕事は始まったばかりである。