幼なじみがおにぎりと引換えに神様の力を授かりました
文化放送「小説家になろうラジオ」の
「タイトルは面白そう」のコーナーに
出てきたキーワードをもとにした短編です。
今回のキーワードは「おにぎり」です。
勢いとノリだけで考えたネタなので
気軽な気持ちで読んでください。
中学一年生鳥居川司は密かに幼なじみの真宮神楽に好意を寄せていた。
中学校の遠足でやって来た山で神楽が坂を転がるおにぎりを追って姿を消してしまう。
司が必死で探すと、小さな神社にいる神楽を発見したのだが……。
「神楽、これは一体……」
司は驚いた。何故なら社の前に立つ神楽が眩い光に包まれていたからだ。
「司ちゃん、私――」
「どうした? 何があった!?」
「神様になっちゃった」
「……はあ?」
司には意味が解らなかった。
「フフフ、継承は成立したぞえ」
「うわっ!」
そこに現れたのは、白い巫女装束に身を包んだ一人の美しい女性。その正体は……その神社に祀られていた神様だった。
偶然にも神楽のおにぎりが転がった先がこの神社だったのだ。
神様が言うには人間の食べ物を差し出す行為は、神の力を授かるための儀式だったそうだ。
神楽は神様から、百年周期で発生する人を堕落させる悪霊《憑き物》の回収、封印する使命を課せられた。
戸惑っていた神楽だったが、神様が交換条件を提示してきた。
『もし憑き物の封印を完遂出来たら、わらわが何でも願いを一つだけ叶えてくれよう』
危険の伴う使命に身を投じる神楽に対し、司は――
「だったら俺にも手伝わせろ!」
神楽を守りたくて、司は神様に志願した。
「フフフ、よかろう。しからばそなたを信奉者第一号として、邪神に対抗しえる力、この退魔の剣を授けようぞ!」
かくして、幸か不幸か神様となってしまった神楽とともに戦う事となった司。
二人を待ち受けているものは……。