第七話 並行世界
実は前回はここまで進む予定でした。しかし間違って投稿してしまった上、タイトルも間違ってました。
まあ後々残り五人になるのは察せられる話なのでそんなに問題ではないですが←
老人が発した言葉、それは僕も疑ったことではある。しかし、物理的な問題として、そんなことがあり得るのか?
僕ら十人は、互いに出会うことはないが、同じ電車に乗っている……。
上り電車。同じ駅。同じ時間。
「そちらの電車は、何両編成ですか?椅子の向きは?」
僕は生唾を飲み込み言った。
「編成か?四両だ。シートは窓に沿ってついとるが……」
「同じだ……、同じです。こっちと」
「なに?」
「今、前から何番目の車両にいます?」
僕らはこのトランシーバーをとるため、ひとつ前の車両に移動していた。つまり今僕らがいるのは前から二両目だ。
「わしらか?わしらは前から二両目だが」
同じだ。僕ら六人は同じ電車に乗っているし、その同じ電車の同じ車両にいる。
だがここには、僕、佐川、長谷川、エンジェルの四人しかいない。向こうも同様に二人しかいない。
同じ場所にいるはずの六人……だが互いに出会わないのはなぜだ?
ミステリーでは常々、こういった物理的にはあり得ないことが起こったりする。それは謎解きを盛り上げるためであり、必ずそのトリックや策は作中で明かされる。
しかし、それがまさか自分の身に降りかかるとは思っていなかった。
思わぬ謎の出現に、僕は頭を抱えた。
Dirty deeds done dirt cheap