第四章 波乱
「S君を追い出したんだって」Kが話しかけてきた。
「ああ、いい広告収入になったよ」
「本当にまったく。S君があの後、どうなったか聞きたい」
「ノーセンキュー」無感情にぼくは言い放った。
Kも苦笑いしている。季節は冬。
異教徒の創始者の誕生日を祝うなぞのイベントまであと1週間。ぼくたちは大規模な活動を予定中だ。
空気が乾燥している。
「ねぇ、I?明日、ちょっと一緒に来てくれない?次の作戦について、よいことを、思いついた、から」
いつもは快活なKにしては、少し歯切れが悪い。
「わかった。どこで待ち合わせする?」
「授業が終わったら駅前で!」いきなり明るくなった。どうしたんだ?さっきの様子は?
「OK」
次の日。授業が終わったぼくは、駅に来ていた。つい数週間前に、Sを粛清したあの場所だ。
少し待っていたら、Kもやってきた。上品なコートを着た彼女は、いつもより大人っぽい。
「どうしたんだ。急に呼び出して」ぼくは尋ねる。
「うん。実は、大事な作戦の前に、リア充たちの様子を見ておきたくて」
「なるほど。で、どこいく?」
「この前のカフェとかどう?」
「わかった。そういえば昼がまだだ。ちょうどいいな」
あいかわらず、この店はリア充だらけだ。そこらじゅうで「あーん」だとか「クリスマスどこいく」なんて話題がでている。はやく来週になればよい。おまえたちに恐怖のクリスマスを味わせてやる。
注文していた生姜焼きランチがやってきた。Kはガパオライスを食べている。
「本当に忌々しいな。完全アウェーだ」ぼくは笑いながらKに話しかける。
「そうね。でもご飯は本当においしい。そっちのも少し食べさせて」
「へいへい」少しドキドキしてしまう。それを必死で隠す。まるで忌々しいカップルのようだ。
「すごい美味しい。こっちにすればよかった」
「そうですか~」片言になってしまう。どうしたんだ、自分。
「そういえば、どうしてKはこの委員会に参加してくれんだ?」今まで疑問に思っていたことを聞いてみる。
「それはね……」
今日は本当に歯切れが悪いな、K。
なんて、思っていた自分が馬鹿だった。まさかこんなことになるなんて。
何が起きたんだって?
Kはいたずらな笑顔でこう答えたのだ。
「あなたのことが好きだからかな?」
ラスト1章&エピローグで完結予定です。




