第三章 裏切り(前半)
「I、大変だ。Sが裏切りやがった」Oが突然、電話をかけてきた。
「なんだと」
「さっき学食で、後輩の女子とイチャイチャしているのを後輩が見たらしい。今度、デートに行くといっていたそうだ」
怒りがこみあげてくる。Sが最初にこの組織に参加してくれたのだ。それなのに。
「あいつめ。クリスマスが近くなって焦ったらしいな。どうする」
「もちろん、裏切り者にはそれ相応の代償をくれてやろう。デートの日はいつだ」
「明後日だ。1時に駅前集合と約束していたそうだ」
「了解」
デートの日。11時。ぼくは動画サイトを立ち上げた。
「諸君、Iです。今日、大変悲しいお知らせをしなければいけない。どうやら、我が委員会に裏切り者がいるらしい。やつは今日、デートをするそうだ。」
「まじか涙」
「ショック」
「うらぎりものは許せん」
観客たちの怒りが最高潮へと達した。
「そこで、私は今日やつに復讐をすることを決心した。血の粛清だ。裏切りものには死を」
「I!I!I!」
「wktk」
弾幕がPCを埋め尽くしている。
12時30分ぼくはOと合流した。
冬だというのに、日差しがサンサンと照りつける。
裏切り者には鉄槌を。これが撲滅委員会の鉄の掟である。
まさか、創設メンバーに裏切り者がでるとはな。
15分が経過した。ついにSがあらわれた。
おしゃれをしている。これが世界の選択か。雑踏のなかをきょろきょろしている。もはや、ここまでだ。
狙いはやつが彼女と合流した瞬間だ。すでに、SNSなどの連絡先はブロック済み。一撃で決めてやる。
1時5分前。ついに彼女が待ち合わせ場所へとやってきた。作戦名<決別の時間>の開始だ。
ぼくはOと別れて単身で、忌々しきカップルのもとへと突撃した。




