第二章 決行 (前半)
「I、どこでやる?」Sが聞いてくる。
11月最初の日曜日。あの結党宣言から1週間が経過した。
ぼくは友人の非リアを集めてついに実力手段にうってでた。
カップルのデートスポットになっている某公園。そこを男3人でゾロゾロ歩いている。
まさにアウェー戦。敵だらけだ。
「ついにこのときがきたな。ワクワクする」Oが言った。
「ああ、ついにだな。目標は公園の池だ。われわれ3人はスマホで遊んでいる非リアを装い、リア充の群れに特攻をかける。作戦終了後、すみやかに現場を離脱。S、動画の準備は大丈夫か?」
「もちろん」
Sは不敵な笑みをうかべる。完璧だ。
「では、諸君。<オペレーション・ エクスシア >開始だ」
冷たい風が吹きぬけた。
「おい、Iあそこの池に珍しいモンスターがいるぞ」
「なんだって!」
「どこどこ」
こうして、ぼくらはリア充カップルのど真ん中に突入した。
奴らは手をつないだり、腕を組んだりしている。
一緒にボートに乗ろうとしている様子をみると虫唾が走る。ああ、忌々しい。
「よっしゃ捕まえた」
「おれも」
「くそ逃げられた」Sのアドリブに笑いそうになる。
「だせぇ」
「そういえばおまえら知っているか。ここの公園でデートすると……」ぼくは白々しい声で話しかける。
「別れるんだってさ、ハハハ」場が凍りついた。
「えー嘘だろ」Oも本当に白々しい
「そういえば、山田先輩もここで別れ話されたって言ってたよな」
Sは台本通りの演技をする。
迫真の答えだ。
「そうそう、後輩の佐藤もここでデートしたあと、1週間で別れたらしいぜ。まじウケる」
奴らの心の声が聞こえる。
(まじ最悪。なんでここでデートする予定にしたのよ。調べておけよ)
(もしかして、おれ今日別れ話をされるのか)
疑心暗鬼になった男女の会話がかみ合わなくなってきたのに笑えた。
「あれ、何かなー?」急に注意を別に向けようとするやつ。
「お茶飲もうぜ」逃げ出す奴ら。
「……」無言になる男女。
ぼくらはその冷たい雰囲気を楽しみながら速やかにその場を離れた。
「いやー地味な方法だが効くな!」Oが笑いだした。
「右にいた男、顔が引きつっていたぞ」
「ボート乗ろうとかいってたのに、急にお茶に変更するしな」
3人は大笑いしながら、作戦の成功を祝った。




