表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空気属性『ステルスチート』の進路  作者: 笹見 暮
前編後半:キキとハウで降り立つサラセニアなる世界
13/107

第七幕目:パジャマ姿の昼桜




 僕らが、瓦礫となった石の壁を踏み越えた直後だった。

 煙の向こうから騒々しい喚き声に交じって──大きな影が現れた。


 風を巻き起こし、煙を剥いで姿を見せたのは黒の巨体。俗にゴーレムと呼ばれている物であった。

 全高七メートルはあろうか。それはやがて、僕らを目掛けて倒れ始める。


「キキ様! 潜ります!」

「え、え!?」


 繋いだ手をグイと引かれた僕は、ククさんにされるがまま、ゴーレムの股下へと飛び込む。同時にゴーレムは、その分厚い胸板を地面に叩き落としていた。


 更に舞う石屑の煙から顔を背け、難去れと走り続けようとした彼女を追う。──……つもりだったのだが。



「ナナツキ先輩、及びターゲット!」



 視界が晴れた所で、正面から勇ましく叫ぶ少年の声が上げる。

 ククさんは彼の姿を認めるや、らいしくもなく脚を止めてしまう。……それもそのはずだった。見れば、橋を遮るように陣取った学徒生達に加え、彼らの後ろに二体目のゴーレムが静かに待ち構えていたのだ。



「これ以上の逃走は、互いの為にならないでしょう! こちらは、穏和な解決を提案したい!」



 まだまだ真新しい学徒生統制礼装を誇らしげに胸を張り、声を雄々しく張り上げる彼。

 背後に武力的圧力を置いての交渉とは、頭のキレる強かな武闘派も居るようだ。


 ──見える限りでは、彼の一派は全部で六十名余り。これらも先程の捕獲班と同様、四──五人で固まり、大橋を塞ぐバリケードのような拡翼陣形を取っていた。


 なにより……。

 あのゴーレムを改めて拝んでみると、現実味の無い威圧感とも感じる。


 剛腕を振るえそうな図太い腕。

 沢山の夢が詰まっていそうな広い胸板。

 上半身とのバランスが合わない、小さな下半身。

 輪郭が妙に歪んでいる所に未熟な学徒生の技術的問題が漂うものの──誰が見ても紛うことなく『門番』であると知らしめてはいるようだが。


「ククさん……」

「大丈夫です」


 『穏和な解決を提案したい』と、双方の間に用意されたテーブルに着けるのは彼らと、僕らだけ。

 それ故か、この博された雰囲気に馴染めぬ者や、何が行われるのか理解出来ぬ者は、ただ見守るだけ。

 音を鳴らす勇気すら持てずにいるようだ。


 この場は静寂。

 こちらの動きが止まり、遠く離れた傍観者らの不満だと垂らす野次が、風に流される時間。

 そうした緊張の中、ククさんが返答する。



「────断る。道を開けなさい」



 瞬間、彼らの心が慄然に犯されていくのが目に見えた。

 「どうする」「どうするんだよ」と狼狽一色に染まる。烏合の衆如きで鬼を阻むのは間違っていると悟る様だ。


「……通りたければ、『吸魂の一振り』を渡すしかない! それに……!」

 それにまだ提案なるカードがテーブルに置かれていない。

 相手がこれでは自らも席に着けることもない。

 凛然に穏便をとはするも、刀剣を地に衝ける少女に再度放つ少年の声は、雄々しさに陰りを落としていた。


「『吸魂の一振り』は衆知の通り、ファイユ・アーツレイのみが所持を許された、『魔法樹』を用いて作成された品です。アーツレイ付きの身として、わたし──クク・ナナツキが、これ以上件の品に触れる者を現すのは合理から逸脱している……と判断するのは必然です。なんなら、解りやすく行動してあげましょうか?」


 秒で決裂。

 刀身が反射した陽光で舐ぶられ、一派のリーダーであろう彼も思わず席から離れる。


「やっ……やるのか……? やり合うしかないんだな? 本当にッ?」


 ……これまた……。

 平和には通れない事態になるのかなと思うと、ブツを持っている身として肩身が狭くなってしまう。

 そんな僕にククさんが囁いた。


「ごめんなさい。強行突破は決定事項でしたので」

「いや、ごめんなさいは……むしろこっちかと……」


 僕が何を言わんとしたのか。

 これをすぐに察したのだろう、ククさんは鋭い眼差しのまま口角を緩めてみせた。


「畏まる必要は無いかと。キキ様は、わたし共が大切にしている品を、偶然拾われただけです。今はそれを、わたしと一緒に元あった場所に戻そうともしているんですよ?」


 彼らは道中に現れたヒヨコ達。変に懐かれても時間の無駄なので振り払うのだと。

 ククさんは、それこそが真実であると言うように、真っ直ぐ僕の目を見ていた。


「……そっか」

 話の流れがそれで落ち着くならと、僕も彼女に習って「そうだったね」と笑んで見返してみた。



「──各班、構え!!」

 さてさてと、穏和なんて何処へやら。ついに学徒生達のリーダーが僕らと刃を交わそうと動き出す。

 対して、これを蹴散らそうと刀剣を胸の前で寝かせ──直刀一文字に構えるククさん。


 場の空気が……ピン──と、張り詰めた。

 そして、さあ先手必勝を我が物に打ち破らんとしたこの時だ。



 ────────────────────────



「──ッ、なに……っ?」

 突如、大衆の鼓膜を破らん勢いで、一度の甲高い金属音がこの場を震わせた。


 音の発生源は、ククさんの刀剣──それと、()の刀身を掻いた『三本の刃』であった。



「……あなた──!」



 先ほどまで冷徹無情に徹していたククさんが一転。ひと瞬き前には居なかった人物の姿に、驚愕と声を漏らす。


 ……あの一瞬。

 発つ足が、どちらが先か決まる一瞬。

 誰よりも素早く、誰よりも力強く、誰よりも大胆に──。

 更には、誰よりも好奇な意思を持って、いざゆかんと構えられた刀剣に驚嘆の悲鳴を叫ばせた者が現れたのだ。


「おはようございます。ククお姉ちゃん♪」

「ア……ッ。おはよう……ございます。キサクラ……」


 刀剣ごと動きを止められたククさんは、『キサクラ』と呼んだ。

 その子は、頭に寝かせた大きな狐耳らしきモノが最初に目につく。

 背丈よりも長く伸ばした狐色の後ろ髪は、まるでほうき星の尾のよう。

 ……恐らく獣族と思われる、小学生っぽい容姿の女の子だ。


 如何にも年相応で、天真爛漫なあどけない笑顔をする女の子だが、そんな無辜らしい容貌には到底似つかわしくない『三本刃の鉤爪』を左手に嵌めている。

 その凶器で、獲物が隙を見せれば即絶たんとでも言うかの如く、尚刀剣を圧し続けていた。

 

「なんで……あなたが出てくるのッ?」


 鉤爪に自由は与えないよう、刀剣を押し込みながらククさんが問うと。


「だって……皆が『イービルアイがいるぞ!』って騒いでたから、気になっちゃいまして?」


 小さな口が、ククさんのNGワードを気兼ねなく奏で、か弱そうな小首が傾げられる。

 しかし、それにククさんは地雷を踏まれたと血相を変えるわけではなく……むしろホッとしているような……?


「それなら一々気にしなくていいのッ! 夜行性は、まだ寝てなさい。それと寝間着のまま出歩かない!」

「ぇぇええ……」


 そんな彼女の乱入に、学徒らも呆気に取られたのか。

 霧消した戦意の奥には、なんだか彼方も難を逃れた安堵感みたいな空気さえ流れているようだった。

 と、ククさんが圧しを弱めた鉤爪を振り払う。


「おっと」

 しかし、キサクラは身を回転させて力を分散したかと思えば、次にその顔は、ククさんの鼻先に付く程に接近させていた。


「──ちょッ!?」

 たじろぐククさんのケープを掴み、キサクラは囁く。


「……お姉ちゃん、ほっぺに傷がついてるよ? 美味しそう……」

 鉤爪がククさんの細い腰に回され、キサクラの丸かった瞳孔が立して細まる。

 飢えた獸が牙を剥く。傷にほんのりと滲む血を欲する小さな舌先が、彼女の頬を這おうとした──のだが。


「あ痛ッ」

 その前に柄元でクルリと回された刀剣の峰が、キサクラの後頭部に落とされた。


「わたしは今、大切なお客様(ゲスト)のご案内に就いているの。変に『醜』『態』を、晒させようとしないでね」


 不意打ちを食らい、頭を押さえて踞ったキサクラを見下しながらククさんが凄む。

 まるで、おいたをしたペットを叱りつける御主人様だ。

 不満たらしく見上げる獣も一発で野性味を削がれたらしく、興奮させていた瞳孔は丸く戻っていた。


「……げすと?」

「キキ様、急ぎましょう!」

「あ、ぅうん。急ごう!」


 ククさんに促されて去ろうとする僕に、キサクラは初めて目を向けた。

 「いつからいたの?」みたいな……やや警戒気味? それとも好奇か戸惑いか……そんな色々な感情を滲ませた眼差しだ。


「──ぁハッ!? 来たぞ! 迎撃……ッ」

 事の成り行きに入れずにいた烏合の衆が再びざわめき出す。刀剣を構えたククさんが急接近するや、危険物回避の心得に習う通りに、一斉に悲鳴を挙げて退いていく。

 ゴーレムは張りぼてのように動かないし、これでは学徒生達の大それた陣形も虚仮威しのようだ。


 そうして石の股下を突破した僕らの前が開かれた。

 だが、先の年輪円路にも待ち構える一団がいる。それも最初から戦意を醸すやる気っぷりだ。


(本当に大変なのは、ここからか……)

 僕は開拓パネルを左手の中指にショートカット設定する。ククさんも刀剣を鞘に納め、渾身の一薙ぎをと備える。

 ──すると、さっきの獣娘が、僕らの前に走り出てきた。


「でもね、もう眠くないから。お話は出来るよね!」

「……舌噛むよ? 話したいなら、キサクラもお客様のご案内を手伝って。ご褒美に、後で桃をあげるから」


 言ったものの、この子の協力なんて期待していないと匂わせる、投げやりなククさんの誘いだ。

 でも、これに気を良くしたか。

 「やったぁ、言ってみるものだ!」と、キサクラは両手を上げて喜んでいた。


────


(この二人って、どういう関係……なのかな?)


 キサクラは他の学徒のように『先輩』とは呼ばず『ククお姉ちゃん』と言っている事から、相当に仲の良い間柄なのはわかる。

 ククさんのNGワードに釣られ、寝間着のまま刃を交えに来るのだから、もしかしたら、仲の良さに比例している何かしらの執着があるのか。それとも単に、『桃』と言う報酬狙いで特攻して来たのか。


 まあ、現状からわかるのは、ククさんはキサクラに手を焼いているってくらいだ。

 それも、甘さを間違えて、噛みつかれないように。

 キサクラの自由を、極力縛らないように。

 絶対、敵には回さないように。

 って感じに。

 

 そんなキサクラが走る足に弾みを加え、僕の左手に回った時、初めてお互いに名を交わし合う機会が設けられた……のだけれども……。


「……きき? …………キキ?」


 僕の名を咀嚼中に、一度歯を止めてククさんを見る。そして、もう一度此方を見て、この名の弾力に疑いがあると匂わせた。


「まさかとは思うけど……親族だなんて思ってないよね?」

「思うの止めたとこ。似てないし」


 そうこうしている内に、僕らの足は年輪円路に陣取る学徒生達のテーブル限界に踏み入ったらしい。

 「──投下!」との合図で、行く先の上空に無数の石の立方体が現れる。しかもそれらは、ブロック崩しのゲームオーバーみたく降り注いできた。


「ちょっ、待っ……!」

 僕は即刻開いた開拓の枠に、自動設定されていた『原木』を二個使って四角形を描く。そこから出てきたのは、ベニヤ板にそっくりな木の壁だった。

 テンパり気味に作成したので狙い通りか偶然かは定かではないが、消費資材数に合わせて二層式の構造だ。


 僕が木の壁で石の雨をしのごうとした横で、なんとククさんはそのまま突撃。彼女は、それらを防ぐのではなく作成している本人達へ突っ込んでいったのだ。


 キサクラも同様。いつの間にやら石の雨を突破し、彼らに飛び付いては押し倒し、その手を次々と止めていた。

 その際、鉤爪を引っ込めたままにしているのは、『使うまでもない』実力を備えているからだろう。

 ざっと見るだけでも八十人以上が捕獲行動を取っているのだが……あの子はなにも恐れず、その長い髪みにすら触れさせない。まるでアスレチック遊具で遊んでいるようであった。


「あ、そうだ。ククお姉ちゃん、昨日の進級試験の、サクラの成績発表見てくれた?」

「え、あぁ……。進級おめでとう。昨日の雨は、あなたの嫁入りかと思ったけど、そっちだったんだね。不吉だわ」


 キサクラは「嫁入りは、まだ早いいぃぃ!」と恥じらいながら、捕獲目的の開拓で忙しなく動かす学徒の腕を蹴っていた。


「キキー! サクラ、開拓上級組に入れるんだよー! 羨ましいと言えーーぃ!!」

「えぇ……」

 その『開拓上級組』が、どういう位置付けなのかピンとこない。

 でももしそれが、下級生が相手だとしても、簡単に大多数を沈めてしまうククさんのようなものならどうだろう。チラッと木の壁から彼女を覗き見る。そんな僕の視線に気付いたか単に気に掛けたのか、あちらもこちらを振り向いた。


 キサクラの期待通りかはわからないけど、とりあえず僕が「超凄い」と返すと、それではご不満だったらしい。「ちゃんと誉めないと、祟るよー!」だとか言いながら、鉤爪を向けてきた。

 飼い主は、人に刃物を向けてはいけませんって、躾ていないのかな。


────


 上空に生成されていた石が全て落ちる頃には、あの二人の周りに立っている学徒生はいなかった。

 やる気満々だった学徒生達には、きっと石の雨に次ぐ作戦があったのだろう。

 だけどそれらは悉くククさんやキサクラに阻まれ弄ばれ、もう捕獲どころではなくなっていたのは過剰なストレスだったに違いない。彼らを過ぎる時に聞こえた呪詛みたいな嘆きには、僕も同情を禁じ得ないさ。


 しかし、皆がそこで諦めてくれたお陰で、僕とククさんは砂利まみれの道を乗り越え、次の年輪円路へと繋がる橋部分に差し掛かれていた。


「木の壁はナイスなディフェンスでした。キキ様ってもしや、才能がおありなのでは?」

「どうだろう……でも、再利用は不可能そうだよ。……これしか残らなかった」

 作った当初は、完全に僕を隠せる程度の大きさだった木の壁は、石の雨で壊れに壊れ……手のひらに収まる程に砕かれてしまった。──その時。


「……あ」

 木の壁の欠片は、放棄を決めた意思に応えたのか、淡く光った後に光の粒となって四散していく。


「……消えるんだ」

「ですね。使い終われば消えるものです。厳密に言えば、資材は本物ではありませんから」


 それは、データ的な意味で?

 これを言うのは少しメタいかもしれない。でも口が止まりそうにない。僕の変な質問に対する彼女のリアクションに、『遊び』を求めてしまった空気の読めない空気野郎が、そう口走ろうとし──


「でね、さっきの続きでね?」

「うおぉおッ!?」

 ──てしまう直前、学徒生らで遊ぶのをやめたらしいキサクラが出現した。

 それはさっきククさんの面前に突然現れた時と同じ。一瞬で目の前に湧いて出た彼女に、素で驚いた。

 瞬間移動とか、チート級のスキルを運営さんはどう思われてると言うかそれよりも、彼女の割り込みが僕の愚かな『世界感を大事にしないメタ発言』を未遂にしてくれた事に感謝である。


「サクラは開拓上級組に入ったら、ククお姉ちゃんみたいに『お前が必要だー!』って、言わせられる先輩になるのさ!」

「……ほぅ?」


「そしたら、皆みんな、みんなッ! 余すトコ無く!」

 キサクラは、獣らしい跳躍力でリズム良く跳ねながら、巨大樹に向かって── 「サクラを、誉めてくれるでしょーーぅ!?」と、思いきり叫んだ。


 フォールに木霊した己の声を誇らしげに、、英姿颯爽の一端を垣間見せつけた彼女はドヤ顔で鼻を鳴らす。

 その傍らで「因みに、『開拓上級組』と『開拓上級者』はノットイコールです。未成年と成人くらいの違いですから」と、解説者の方が声を潜めて教えてくれた。

 それはつまり、開拓上級組に入るだけでは、目的は達成出来ないよって意味だろうか。本人がその現実にぶち当たる瞬間を楽しみにしている方もおりまして……なんて、ククさん呟き足していた。


「その後に、当然『ココンの武器』も貰う。貰えなきゃおかしい」

「『ココンの武器』って?」

 聞こえた単語をそのまま隣にパスをする。

 複雑そうな眼差しをしていたククさんは、僕からの質問を受け取るとキサクラを眺めつつ言う。


「……あ、『ココン』とはですね。『古の魂』。フォールの魔法樹が吸い込んだ魂達の拠り所を差す言葉です。そして、その『拠り所』を武器にしたのが、わたしの刀剣であり、これの所有が許されているのは唯一、アーツレイに仕える者だけ──と、されています」


 その『古魂』が欲しいから、キサクラはククさんのようになりたがっている、とかなのかと思ったが、そうではないようで。

 ククさんが「単純に、偉い人からも誉められたいってだけですよ」と、クスリと笑ったので、僕も「なるほどね」などと、笑みを含ませた。


 けど、自分で決めた目的に直進する姿は好きだ。

 それがキサクラが求めるキサクラ自身の在り方なのだろう。

 いいね。そう言う志があるのは、僕も憧れるし共感できる。


「……あれ。サクラって……? キサクラって呼んでるのは?」

「あー。ここだけでも人が多いですから同じ名前の方も居ます。ですのでわたし達はこの娘を、『狐のサクラ』略して『キサクラ』と、呼んでいます」

「そー。ホントの名前は『サクラ』だからね。……それよりさ」


 キサクラは、年輪円路と橋の接続部で立ち止まると、丁度そこを走り抜ける僕らに視線を追わせながら訊いてきた。


「二人は何処まで行くのー?」

「年輪円路の三番目! そこから森に行くから!」


 たった今過ぎ終えたのは八番目。ククさんは先に見える目的地を指し示して応える。


「……へぇ……。でさ」

 またキサクラの姿が、瞬時に目の前に現れ──そして、僕らに尋ねる。


「邪魔してた人達は、もう邪魔してこないの?」


 その言葉に、僕とククさんは「……え? 」と、声を揃えていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ