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短編

抱擁

作者: 牧田紗矢乃

 私のそれを「抱擁」と呼ぶのは、いささか語弊があるような気がする。

 抱擁というのは、本来相手を受け止める行為であるべきだ。抱きとめ、受け入れ、愛おしむために行われるべき行動なのだ。


 その点。私はそれを相手に求めてしまう。

 つまりそれは相手に縋り付いているだけではないか。未熟で弱い自分を相手に押し付け、抱きとめてもらうことで存在を保っているだけではないか。


 手放しに存在を受け入れられることに慣れてしまっては、二度と独立した存在に戻ることができないように思う。恐怖する。

 それほどまでに貴方の腕の中は居心地が良いのだ。


 けれど、貴方は私のものではない。貴方は貴方自身だけのものだ。

 未熟な自分を押し付けられるほど、私も厚かましくない。


 気が向いた一瞬だけでも、その腕の中へ置いてくれればいい。それ以外の時は自分で自分を受け止めておくから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 抱擁とは確かにそうでしょうね。 相手のことを受入れ、慈しむ行為です。 それが心地良いあまりに、なんでもかんでもすがるように抱擁をねだるようになれば、相手に無理矢理、自分を押し付けてしまうの…
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